石破総理が日本だけ水産業が衰退と発言
今回のワールドオーシャンサミットでは、日本政府からは石破茂総理大臣、浅尾慶一郎環境大臣、酒井学内閣府特命担当大臣(防災・海洋政策)、宮路拓馬外務副大臣(岩屋毅外務大臣はG7外相会合のため不在)が、各々壇上でスピーチを行った。コ・スポンサーの立場で初めてワールドオーシャンサミットに参画した日本財団からも、開会と閉会に86歳の笹川陽平会長が壇上で英語のスピーチ原稿を読みあげたのには好感が持てた。
それらのスピーチのなかで特筆すべきは、石破総理の下記の発言である。
「日本国におきましては、海洋環境の変化や漁獲量の減少、担い手不足、高齢化などの課題がございます。いま漁業に携わる人は、ピークの5分の1か6分の1になりました。漁獲量も漁獲高もピークの半分以下となっております。
海洋環境が変化をしているのは、日本だけではないのでありまして、世界中が海洋環境の変化をいたしております。にもかかわらず、日本だけが水産業、漁業が衰退をしているということは、私は極めて憂慮すべきことだと思っております」
日本の総理が世界に向けて日本だけ水産業・漁業が衰退している事実を確認したことは、極めて重要だ。
会期の2日間を通して、全てのセッションの議論は英語で行われた。1人だけパネルディスカッションのステージにもかかわらず事前に準備してもらった質問に日本語で答えの台本を読んだ人がいたが、それ以外は全員ステージでの議論を楽しんでいた姿が見られて嬉しかった。
オーディエンスには同時通訳機も配布され、日本開催ならではの言葉の壁を乗り越えた参加ができたのではないだろうか。さらに、各セッションは当然重要だが、私は国際会議の醍醐味は「廊下」での会話だと信じている。ここから世界中へのネットワークが広がり、互いの立場からのオフレコを含めた率直な意見交換ができるのだ。廊下からのたくさんの産物にも期待したい。
これから日本は、石破総理の述べた「日本だけが水産業、漁業が衰退をしている」という点を真摯に踏まえて、各自の立場で最善の改善を尽くさねばならない。ワールドオーシャンサミットでの議論が有意義に未来構築に反映されることを願う。
種の保存の原則が示したとおり、生き残れるのは強い生き物ではない、環境変化に対応できる生き物なのだから。


