2日間で、81のセッションに166人の講演者と900人以上の登録参加者が参加した。ハイライトとしてサー・デヴィッド・アッテンボローの新作映画の独占プレビュー、探検中の調査船とのライブ中継なども登場。
思い返せば2015年のリスボン大会ではグローバルフィッシングウォッチが登場して参加者の話題をさらったものだ。これは衛星設備を利用して地球上を航海する船の位置を示せるシステムだが、日本が提携に至るのはそれから3年も後のことだった。やはり最新情報の収集は重要だ。
G7でIUU-AA未加盟は日本だけ
パネルディスカッションが本会場と小会場で公開されたほか、「HowTo」と呼ばれる15人ほどのエキスパートたちを招待して議論する複数の作業部会も開催された。私はIUU(違法・無報告・無規制漁業)のパネルとトレーサビリティのHowToに招かれ、持続可能な水産資源についての議論に参加した。
パネルディスカッションでは、カナダ政府海洋水産省のKaili Levesque次官補と一緒になり、パネルの前後では互いの国の進捗状況や課題を共有するなど有意義な時間も持てた。カナダ政府は、IUU漁業アクションアライアンス(IUU-AA)の議長国でもある。
IUU-AAは世界15カ国がすでに加盟しているが、G7で未加盟なのは日本だけだ。水産庁も内閣府海洋政策本部も外務省も、現在参加するつもりはなく、理由は人手不足と予算不足だという。
私がCEOを務める「セイラーズフォーザシー日本支局」ではその穴を埋めるべく、非政府としてアライアンスに招待を受け、月1回のオンライン会議に参加して世界が何を議論しているのか、どこを目指しているのかの最新情報を得ている。当然カナダからも国際社会からも日本のIUU-AAへの早期加盟が求められている。
もう1つ、私が招待された「HowTo」と呼ばれるラウンドテーブルセッションの議論のテーマは「トレーサビリティの確立と持続可能な水産物の説明責任の向上」だった。
このセッションでは水産物のトレーサビリティの確立に欠かせないデジタル化について、投資家や企業リーダー、NGO、認証スキームオーナーたちが一堂に会して、持続可能な水産資源の流通を推進するための金銭的インセンティブと実践的な戦略を特定するべく議論を繰り広げた。


