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サイエンス

2025.04.12 18:00

「わかってほしい」が夫婦の絆を壊す、結婚を静かに蝕む2つの負担との向き合い方

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2024年に『Frontiers in Psychology』誌に掲載されたレビュー論文は、完璧主義と結婚生活の結末との関係を考察している。そこでは完璧を求める心情は、結婚生活を「破壊する要素」だと表現されている。パートナーに完璧主義の高い基準を求めると、夫婦関係でのストレスや燃え尽き、争いが悪化しやすいことが、複数の研究で確かめられたとしている。また、相手に求めるものの基準が高いと、結婚生活への満足度が低い傾向も認められた。

これは、特に「不適応的完璧主義(maladaptive forms of perfectionism)」に当てはまる話だ。こうしたタイプの完璧主義は、愛情に基づいた成長を促す健全な努力とは異なり、相手を支配しようとし、ミスや物事へのアプローチにおける違いが生じる余地を認めない。パートナーに対して不寛容で過ちを許さないので、パートナーは常に「自分には足りないところがある」という気持ちに追い込まれる。

同論文の著者はこう解説している。

「不適応的な、あるいはネガティブな完璧主義は、ミスを心配したり、期待と結果のあいだの調整ができない、といった理想主義的な懸念と関係している。ネガティブな完璧主義者は、自分自身さらには人生をともにするパートナーや家族に完璧を求めるが、このような非現実的な期待がかなえられることはない。結果として彼らは、配偶者との関係で頻繁に困難な場面に遭遇し、婚姻関係における信頼や好意は目減りしていく。彼らの行動はパートナーの自信喪失につながり、苦痛を伴うものになる」

完璧主義から解放されるための第1のステップは、完璧というものが幻想だと認めることだ。ミスを「学ぶための機会」ととらえ、互いの違いを好奇心と寛容な気持ちで受け止める余地を作る必要がある。

また、相手に対して自分が抱いている期待について率直に話し合うことで、もう少し柔軟性が必要な点が明らかになることもある。愛とは、相互理解の上に成り立つものであり、厳格な批判によって生まれるものではないからだ。

2. 「見えない負担」を無視する

夫婦関係におけるもう一つの重荷とは、気づかれずに進行することが多く、それが問題の一因となっている。こうした夫婦関係で生じる「見えない負担」とは、心理、感情、家事の進行状況に関して、一人のパートナーが主に負う、目に見えない責任を指す。こうした責任を果たす側は、疲労を覚え、自分が認められていないと感じるようになる。

目に見える家事などの務めは均等に分担されていたとしても、すべてがスムーズに運ぶように取り計らうという心理的負担は、片方のパートナーが負っているケースが多い。例えば、家事労働については配偶者と分担していたとしても、パートナーの片方だけが請求書の支払い期限を覚えておく、食料品の買い物リストを作成する、今後の予定をチェックするといったタスクを常に引き受けているのなら、その人は見えない負担を引き受けている可能性が高い。

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翻訳:長谷睦/ガリレオ

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