【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

AI

2025.04.15 14:30

オープンソースAIの台頭とオンプレミス導入が先導する、医療分野のAIトレンド

Nitat Termmee(Getty Images)

Nitat Termmee(Getty Images)

人工知能(AI)は医療分野を変革し、米国および海外における臨床業務の在り方を大きく変えようとしている。各国はそれぞれの方法でAIシステムを導入するが、多くの場合、臨床現場の人手不足への対応、診断成績の向上、国民全体の慢性疾患への対処など、さまざまなメリットを得るためにAIを活用することになりそうだ。

そこで、いくつかの成果について考えてみる必要がある。まず注目すべき点として、現代のヘルスケア分野におけるAI導入は、この技術が単に美しい画像を生成したり、人工的な詩を書いたりするだけではないということだ。大規模言語モデル(LLM)を人文科学のための道具とみなしがちな向きもあるが、実際には人間の大学生と同様、LLMは芸術的な成果を追求することも、科学的な成果を追求することもできる。たとえばアーティストにもなり得るし、医師にもなり得るわけだ。ただし、こうした高度なユースケースの多くには大掛かりな統合が必要になる。ハードウェアのセットアップやLLMモデルの訓練・プロンプト設計だけでなく、既存インフラやビジネス運営との連携が不可欠だが、これを実現するのは容易ではない。

最近、AIとXRの融合が社会に与える影響を考察した書籍『Our Next Reality』の著者アルビン・グレイリン(訳注:2016年から2023年までHTCの元中国社長を務めた)と、DeepSeekなどに所属する生成AIコンサルタントのカール・ジャオが、米国および世界各地における医療AIの現実について議論した。

医療技術やAIシステムの国際的な取引は、単にモノやサービスが国境を越えるだけでなく、各国の規制や文化など多くの要因によって影響を受けており、多様な利害関係者がそれぞれの立場からグローバル経済に参加している。それらを踏まえると、今後医療システムがどのように展開されるかを分析するうえで、この対談は有用であったといえるだろう。

医療におけるオープンソースAIの台頭、オンプレミスソリューションが未来をかたちづくる

AIは医療を変革し、臨床ワークフローを刷新するとともに、医療人材不足や診断精度、慢性疾患の管理といった重要課題への対応を進めている。米国では、ヘルスケア分野が生成AIの導入をリードしており、2024年の投資額は5億ドル(約731億4000万円)に達する見込みだ。これは2位の法務サービス分野を67%も上回る数字である。こうした成長はAIの潜在力を示しているものの、実際の導入には最先端の技術だけでなく、既存システムとのシームレスな統合、コストの透明性、プライバシー保護への配慮が欠かせない。

オープンソースの優位性、企業による採用

AI導入において特筆すべき変化のひとつは、DeepSeek-R1やDeepSeek-V3といった、MITライセンスによるオープンソースモデルが注目されている点である。これらのモデルは、企業に対してコスト効率が高く、透明性があり、カスタマイズ可能なソリューションを提供するため、医療用途に適している。プロプライエタリなシステムと異なり、オープンソースAIはアルゴリズムを監査しやすく、コンプライアンス(法令遵守)を確保しながら、特定の臨床ニーズに合わせて柔軟にモデルを調整できるうえ、ベンダーロックインを回避できる。

エヌビディアの最近の戦略転換も、このトレンドを裏付けている。同社はハードウェア販売だけに注力せず、オープンソースフレームワークを基盤とする業界特化型のAIソリューションを展開する企業と提携している。たとえばDeepSeekを活用したツールはすでに、診断時間を40%短縮し、希少疾患の識別精度を28%向上させるという成果を上げている。こうした事例は、オープンモデルと専門知識を組み合わせることで、精密医療に具体的なインパクトをもたらしえることを示している。

次ページ > オンプレミスとプライベートクラウドへの注目

翻訳=酒匂寛

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事