異論を封殺するトランプ政権
ペトロワの一件は孤立したトラブルではなく、最新事例にすぎない。第2次トランプ政権では、「不都合な」政治的見解を持っているとみなした個人を標的にした移民当局による強制措置が憂慮すべきレベルで増加している。
コロンビア大学の大学院生だったマフムード・ハリルは、大学構内でパレスチナ自治区ガザ地区でのイスラエルの軍事作戦に抗議するデモを主導した後に逮捕され、国外退去処分に直面している。米国永住権(グリーンカード)を保持するハリルは、自分が拘束されたのは親パレスチナ政治運動が直接の理由だと主張しており、この事件は移民法違反を口実にした広範な言論弾圧が行われている実態を表沙汰にした。
同じくコロンビア大の学生で米国の長期居住者であるユンソ・チョンも、親パレスチナ抗議デモへの参加を理由に国外退去を迫られたとしてトランプ政権を訴えている。こうした当局の対応は、移民法を悪用して異論を抑圧しようとする組織的な取り組みの存在を反映している。
よみがえる暗い過去……「キールホール強制送還作戦」
現在進行中の事態は、第二次世界大戦後の米英によるソ連難民の強制送還作戦「キールホール作戦」と不気味なほど酷似している。当時、米英とソ連との同盟関係を維持するための誤った試みの中で、無数の人々がスターリン政権下のソ連に送還され、投獄や処刑の憂き目に遭った。この歴史的事実との類似点は、政治的な便宜が道義的責任よりも優先された場合に、どのような結果がもたらされるかをありありと想起させる。