2007年に設立されたヨガブランドのAlo Yoga(アロー・ヨガ)は、テイラー・スウィフトやベラ・ハディッドなどのセレブたちを魅了し、創業者であるロサンゼルス出身の幼なじみ2人組に莫大な富をもたらした。このブランドは、Lululemon(ルルレモン)が長年独占してきたアスレジャー・アパレルの世界に新たな流れをもたらしている。
今年2月のある日、ジャスティン・ビーバーの妻、ヘイリー・ビーバーがマンハッタンのAlo Yogaの店舗に入っていく姿が写真に収められた。彼女が着用していたのは、ブランド限定版のレギンスと黒のダウンジャケットだった。その数日後にゴシップサイトのPage Sixは、このレギンスに関する短い記事とともにビーバーの写真と、128ドル(約1万9000円)のレギンスを購入できるリンクを掲載した。
ヨガウェアの市場で熱い戦いが繰り広げられるなか、Aloは多くのセレブの支持を集め、彼らをマーケティング戦略に取り込んでいる。テイラー・スウィフトやベラ・ハディッドに加えて数多くのインフルエンサーたちが、68ドル(約1万円)のバイカーショーツから1400ドル(約20万円)のカスタムスーツまで、Aloの製品を着用する姿を写真に収められている。
同社のウェブサイトには「ケンダルとカイリーみたいになれるAlo」というコーナーがあり、ジェンナー姉妹の名前を冠している。また、BLACKPINKのメンバーのジスが、夏のワールドツアー前に西海岸でAloを着ている様子も掲載されている。ジェンナー姉妹やジスはAloとプロモーション契約を結んでいるが、それ以外のセレブたちは自発的にAloを着ていると、同社の広報担当者は話す。
このように魅力的なゲリラマーケティングの手法により、Aloは若年層向けのアスレジャー市場で急成長している。
売上高は5年で10倍に
Aloの親会社であるColor Image Apparel(カラー・イメージ・アパレル)の売上高は、フォーブスの推定で20億ドル(約2900億円)近くに達している。これは、業界のアナリストの試算で3940億ドル(約58兆円)規模とされるアスレジャー市場全体においては、ごくわずかなものであり、同社には106億ドル(約1兆5600億円)の売上高を誇るLululemonやGAP傘下のAthleta(アスレタ)、アンダーアーマー、さらには最近キム・カーダシアンのSkimsとの提携を発表したナイキなどの競合がひしめいている。
それでもAloは急成長しており、過去の報道に基づく財務情報によると、過去2年間で売上高がほぼ倍増し、2020年からは10倍にまで膨らんでいる。Aloの店舗数は世界で130店舗に達しており、うち31店舗は米国外にある。
同社は、2023年10月に100億ドル(約1兆4700億円)の評価額で資金調達を行うと報じられたが、最終的にこの取引は実現しなかった。フォーブスは、Aloのそれぞれ50%を保有する共同創業者のダニー・ハリス(51)とマルコ・デジョージ(51)の保有資産が、それぞれ47億ドル(約6900億円)に達したと推定している。
「アパレル業界全体は成長が鈍いが、アスレジャー分野は数少ない強い分野の一つだ。そのため、大きな投資を引き寄せている」と、モーニングスターの小売アナリストのデイビッド・シュワルツは語った。業界アナリストによると、アスレジャーウェアの売上高は2033年までに倍増し、9000億ドル(約133兆円)に達する見込みだという。