健康

2025.04.08 16:45

物価高騰により、ひとり親家庭の子どもが栄養不足に

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物価高騰が止まらない。あくまで個人の肌感覚だが、食費は以前と比べ月5000円から1万円近く出費が増えてきた。このような背景を受けて、低所得のひとり親家庭を対象にした食品支援事業「グッドごはん」を運営する認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが、「グッドごはん」利用者を対象に収入や暮らしの状況に関する調査を実施。調査結果からは、物価高騰が追い打ちとなり、十分な食事を確保できない家庭の実態が明らかになった。


◾️アンケート概要:「ひとり親家庭の収入・暮らしの状況に関するアンケート」
実施日程:2025年2月4日~2月20日
対象者:グッドネーバーズ・ジャパンのフードバンク事業「グッドごはん」の利用者
※利用者は、原則としてひとり親家庭等医療費受給者証保有者に限る(ひとり親家庭等医療費受給者証とは、18歳未満の子どもを養育し、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭等に交付される医療費助成制度の医療証)
回答方法:アンケート回答フォームへの入力(オンライン)
回答者数:2345名
回答者属性:性別:女性 2252名、男性 68名(無回答除く)
年代:10代・1名、20代・70名、30代・519名、40代・1201名、50代・525名、60代以上・24名(無回答除く) 
居住地域:首都圏(主に東京・神奈川・埼玉・千葉 )1031名、近畿(主に大阪・京都・兵庫・奈良)851名、九州(主に佐賀・福岡)463名

子どもの成長に直撃する物価高騰

今回の調査によると「グッドごはん」利用者で、2024年の世帯年収が「200万円未満」と答えた家庭は全体の5割にのぼった。

経済的理由により、子どもに十分な量・栄養の食事を用意できない頻度について回答を得たところ、以下の結果が示された。

「空腹を満たすのに十分な量の食事を1日のうち一度も用意できない頻度」が「ほとんど毎日」「週に2~3日程度」と回答した家庭は14.2%。また「主食・主菜・副菜が揃った食事を用意できない頻度」も「ほとんど毎日」「週に2~3日程度」を合わせると約3割の数字となった。これらの結果から、子どもたちの空腹を満たすのに十分な量の食事をとることも厳しい家庭が一定数存在すること、また栄養バランスの整った食事を用意することが難しい家庭も少なくないことが見てとれる。

家計圧迫で食材購入は「非常に困難」

さらに、食材の購入に関して「非常に困難」または「やや困難」と答えた人は約9割に及んだ。米や肉・魚、野菜といった基本的な食材が家計を圧迫していることがわかる。

「物価上昇が続く中で、自身や子どもの食生活について不安・心配に感じていること」に関する自由記述回答では、下記のような声が寄せらた。

「今までなら野菜でかさ増しや米でお腹を満たせていたが、野菜も高く米も値段が倍になり、食べる量を全体的に減らさないといけない。最近子どもが気を遣って食事を取らなくなってきている。食べることが家計を圧迫しているように感じるようで、買える食材も限られるので同じ様なメニューで食べたくなくなってもいるようだ」
「ご飯少しとみそ汁だけの日が多い。魚や肉はたまに安売りのときに買う程度。卵も値上げしたのであまり食べられなくなった」
「ビタミンやミネラルなどが豊富な食材が調達できず代わりに炭水化物や脂質が多いものに偏りがちなので、栄養バランスが崩れ、成長期の息子たちに悪影響を来さないかいつも心配している」
「栄養バランス以前に栄養がとれていない。お腹を満たせば良いと思うようになってしまった。野菜が高すぎてもやしときのこ類しか買えない」
「子どもはお腹空いたと言うが、満足に食べさせる事がだんだん厳しくなってきている」
「子どもが遠慮して食べない日がある」
「栄養の偏りや、食卓を囲む楽しさが減り、食するということへのイメージが低下し、心身の成長に影響しないか心配。食に絡む豊かさを育んでやれないもどかしさや残念な気持ちがある」
「その時あるお金で購入できる野菜などで工夫して調理しているが、しばらく肉は食べておらず、卵も高騰してきているので、栄養面や偏りがとても心配」

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文=福島はるみ

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