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欧州

2025.03.25 11:00

旧ソ連の空対空ミサイルを地上発射に転用、新たな防空車両がウクライナに出現

2003年のパリ航空ショーに出展されたR-73E短距離空対空ミサイル。2003年6月17日、フランス・パリ郊外ルブルジェ(Flying Camera / Shutterstock.com)

2003年のパリ航空ショーに出展されたR-73E短距離空対空ミサイル。2003年6月17日、フランス・パリ郊外ルブルジェ(Flying Camera / Shutterstock.com)

1991年にソビエト連邦が崩壊したとき、ウクライナはR-73空対空ミサイルの在庫を相当数引き継いだ。重量105kg、赤外線誘導のR-73は通常、ウクライナ空軍のMiG-29戦闘機とSu-27戦闘機から発射され、敵機のジェットエンジンが発する熱シグネチャーを追尾して最大30km先まで飛んでいく。

多くの空対空ミサイルと同じように、R-73も地上発射型に転用可能だ。そのためウクライナも、専用の熱源追尾式地対空ミサイル、とくにオサー防空車両用の9M33ミサイルの在庫が不足し始めると、手元に残っているR-73に目をつけた。

ウクライナは現在、R-73の地上型発射機を少なくとも3種類保有している。ひとつは英国の技術者らが開発したトラック型の「グレイブホーク」、もうひとつはR-73用に改修したオサー、そして新たに判明した2つ目のトラック型とみられる発射機だ。

グレイブホークは英国が昨年、ウクライナ向けに17両の製造を開始した。R-73対応のオサーは2023年に初めて登場した。新たなトラック型発射機は、クライナ陸軍第3独立強襲旅団に配備されていることがこのほど明らかになった。今月就役したばかりかもしれない。

「装備は老朽化し、戦術・技術的特性の制約もありますが、それでもわたしたちは近代化や最新のアプローチ導入の機会を見いだしています」。第3強襲旅団に所属する軍人、マクシム・ザイチェンコはフェイスブックにそう投稿している

彼の言うとおり、R-73は新しい兵器とは言い難い。旧ソ連軍で実戦配備されたのは1980年代初めだ。一方で、近代化が可能だというのもそのとおりだ。とりわけウクライナにはそれが当てはまる。

というのも、ロシアの産業界とウクライナの産業界がまだ弾薬生産で普通に協力していた2000年代初め、ウクライナ企業のアルセナル(旧・アルセナル中央設計局)がR-73用の新たなシーカーヘッドを開発したくらいだからだ。「MM-2000」というこのシーカーはR-73の既存シーカーよりも感度が高く、ジャミング(電波妨害)の影響も受けにくいものだった。

グレイブホークや改修型オサーなどの発射機から発射されるR-73に、改良型シーカーが搭載されているのかどうかは不明だ。とはいえ、改良型シーカーはウクライナに、少なくとも設計図としては存在する。ウクライナ軍が前線上空の防空の穴を埋めるための適応を続けるなか、それを活用していないほうが不思議だ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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