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欧州

2025.03.24 09:00

ウクライナ軍、クルスク州でロ軍と同数近くの戦車を損失 敗北の上に重い代償

米国製のM1エイブラムス戦車(Shutterstock.com)

米国製のM1エイブラムス戦車(Shutterstock.com)

ロシアがウクライナに対する全面戦争を起こしてから3年1カ月の間に、ロシア軍は戦車を3300両近く失った(編集注:ここでは撃破された数と鹵獲された数の合計)ことが、OSINT(オープンソース・インテリジェンス)グループのOryx(オリックス)によって視覚的に確認されている。

一方、ウクライナ軍の戦車の損失(撃破と鹵獲)数は950両弱となっている。損失比率はざっと3.5対1でウクライナ軍のほうが抑えられている。

だが、ロシア西部クルスク州での7カ月あまりにわたる戦いでは、両軍の戦車の損失数はロシア軍が66両、ウクライナ軍が55両で、比率は1.2対1となっている。ほぼ均等と言っていいだろう。

これはウクライナにとって悪いニュースだ。最近のある分析によれば、装備ではなく人員の損失比率についてではあるものの、ウクライナ軍が戦場の膠着状態を打破するためにはロシア軍に少なくとも3倍の損失を与えていく必要があるとされる。

ウクライナ軍は昨年8月にクルスク州に侵攻する前には、装備に関して1対3の損失比率を達成しつつあった。だが、最終的に撤退に追い込まれることになったこの侵攻作戦の間に、ロシア軍はウクライナ軍が失える以上の数の戦車を撃破したり鹵獲したりした。

ロシアが全面戦争を始めた2022年2月時点で、ウクライナ軍では旧ソ連製のT-64とT-72を中心に戦車およそ1000両が就役していた。ウクライナ軍はロシア軍との交戦で戦車を950両ほど失う一方、支援諸国から850両あまりを供与され、さらに国内で長期保管していた古い戦車も引っ張り出した。ウクライナ軍は現在も戦車を少なくとも1000両保有している。

一方のロシア軍は全面戦争の開始時にT-72やT-80、T-90といった戦車をおよそ3500両配備していたが、ウクライナ軍との交戦で3300両近くを失った。ロシアの産業界は新しい戦車を年間500〜600両製造している。これでは損失を補うには少なすぎるが、ロシア軍は何千両もの古い戦車の在庫を活用できてきた。その多くは1960年代に開発されたT-62と1950年代に開発されたT-54/55が占める。

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翻訳・編集=江戸伸禎

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