欧州

2025.03.24 09:00

ウクライナ軍、クルスク州でロ軍と同数近くの戦車を損失 敗北の上に重い代償

米国製のM1エイブラムス戦車(Shutterstock.com)

戦車の動向

両軍の戦車戦力の構成は、それぞれの補充戦車の主な調達源が原因で変化してきている。ウクライナ軍の戦車部隊の場合、ドイツ製のレオパルト1やレオパルト2、米国製のM1エイブラムスなど欧米製戦車の引き渡しを受けて、徐々に現代化が進んでいる。

対照的にロシア軍の戦車部隊は、およそ60〜70年前にさかのぼる旧式戦車を何百両も導入しているため、むしろ旧式化している。また、一部の方面ではウクライナ側が戦車の優位性を確保するようにもなっていた。

しかしクルスク方面では違った。クルスク州では戦場の規模が比較的小さく、両軍の部隊がそれぞれ密集して配置され、さらに、これが最も重要なことだが、爆弾搭載ドローン(無人機)が大量に飛び交っていた。そのため、クルスク州は装甲車両の文字どおりの「墓場」になった。ウクライナ軍が3月第3週、撤退することになったのも、ロシア軍の精鋭ドローン部隊がウクライナ軍の主要補給線で車両の破壊を進めたことが大きな要因だったもようだ。

ロシア軍はクルスク州でウクライナ軍に自軍とほぼ同数の戦車を失わせ、ウクライナが切実に必要としていた勝利を奪った。ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトは、クルスク州での両軍車両のほぼ1対1という損失比率について「(ウクライナ側のほうが)当初の備蓄が少なく、損失車両の代替能力が限られることを踏まえれば、消耗戦ではウクライナに不利なシナリオ」だと指摘している

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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