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2025.03.19 13:00

米オラクル、英国のクラウドインフラ事業に7500億円投資へ

ラリー・エリソン(Anna Moneymaker/Getty Images)

ラリー・エリソン(Anna Moneymaker/Getty Images)

米国のハイテク大手オラクルは、英国での「急速に拡大するクラウドサービスの需要」に対応するため、今後5年間で50億ドル(約7470億円)を同国に投資すると3月17日に発表した。オラクルは、この投資により同社のクラウドソリューションである「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」の英国での展開を拡大し、英国政府の人工知能(AI)関連のイノベーションの導入を支援すると述べている。

英国のスターマー首相は1月に、同国の経済発展の促進と行政サービスの効率化を目指す計画の一環として、同国を「世界有数のAI超大国」に変革すると語っていた。同首相は、AI技術が英国の生産性を年間1.5%向上させる効果が期待でき、これは10年間で年470億ポンド(約9兆1300億円)に相当すると述べていた。

「英国は、AIイノベーションの分野で世界をリードすることを決意している」と英国の技術担当相ピーター・カイルは17日に語ったが、オラクルによる50億ドルの投資は、企業や公共部門に「最先端のクラウドインフラ」を提供し、生産性の向上やセキュリティの強化、新たな成長機会の創出を支援することになる。

「我々は、オラクルのような世界的ハイテク企業との協力で、英国がAI革命の最前線に立つことを確実にしようとしている」とカイルは述べた。

スターマー首相は先月、ワシントンを訪れて米国との貿易協定に向けた交渉を行ったが、その後もトランプ政権と交渉を続けている。オラクルの共同創業者でビリオネアのラリー・エリソンは、トランプ米大統領の長年の支持者として知られている。エリソンはまた、大統領の顧問であるイーロン・マスクの個人的な友人でもある。

トランプは、1月にエリソンのことを「すばらしい男だ」と呼んで、彼が単なるハイテク企業の経営者の枠に収まらない人物だと述べていた。

トランプは、1月に「スターゲート」と呼ばれるAIインフラ計画をホワイトハウスで発表したが、その席にエリソンは、OpenAIのサム・アルトマンやソフトバンクの孫正義らとともに姿を見せていた。この計画は、OpenAIとオラクル、ソフトバンク、アラブ首長国連邦の投資会社MGXなどが資金提供を行うもので、最初の資金として1000億ドル(約14兆9000億円)が投じられ、4年間で合計5000億ドル(約74兆7000億円)の投資が計画されている。

AIインフラ事業に注力

オラクルは先週、市場予想を下回る決算を発表した。同社の第3四半期の売上高は、前年同期比6%増の141億ドル(約2兆1000億円)で、純利益は同22%増の29億ドル(約4330億円)だった。同社は、6月に始まる次の会計年度の売上高が15%増となり、2027年度には20%の成長を見込んでいる。オラクルは、AI関連の計算能力に対する強い需要がクラウドインフラ事業の成長を後押ししていると述べている。

「当社は、今年中にデータセンターの容量を倍増させる予定だ」とエリソンは語った。「顧客の需要は、過去最高レベルにある。我々のマルチクラウド・データベースの収益は、マイクロソフト、グーグル、アマゾンとの取引によって、過去3カ月で92%増加した」と彼は述べていた。

フォーブスは、世界で4番目の富豪であるエリソンの保有資産を1890億ドル(約28兆30000億円)と試算している。1977年にオラクルを共同創業したエリソンは、37年間にわたり同社のCEOを務めた後に2014年にその職務を退き、現在は、同社の会長兼最高技術責任者(CTO)を務めている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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