「時おり混乱もあったものの、退却はおおむね秩序立ったものだった」とTatarigamiは評している。「包囲の脅威はなく、それがあると示す証拠もない」
ウクライナの何千人もの軍人が戦死したり捕虜になったりする危険にさらされていると虚偽の主張をするトランプは、停戦交渉入りの可能性が高まるなかで実質的にロシアのウラジーミル・プーチン大統領の立場をなぞっている。
トランプとJ・D・バンス米副大統領は2月28日、ホワイトハウスの大統領執務室に迎えたゼレンスキーに対し、米国によるこれまでの援助に対する感謝が足りないなどと馬鹿げた非難を浴びせた。記者団の前で繰り広げられたこの悲惨な首脳会談をきっかけにウクライナと米国の関係は険悪化し、それは3月11日、両国が30日間の停戦の基本的な条件で合意したことでようやく改善した。
ロシアは同じ条件に同意するか、独自の条件を要求しなければならない。トランプはプーチンとの内々の話し合いは順調に進んでいるとし、ロシア・ウクライナ戦争が終結する可能性は「非常に高い」とも主張した。
しかしトランプは、ロシアがクルスク州で数千人のウクライナ人を人質にとっていると言うに等しいロシア側の虚偽の主張に基づいて話を進めたらしい。「わたしはプーチン大統領に、彼らの命を助けてくれるよう強く要請した」とトランプは書いている。
実際には、クルスク州にはもう何千人ものウクライナ軍人はいない。プーチンがどう主張しようが、彼らは数日前に去ったのだ。「プーチンの言葉ではなく、インテリジェンスに頼るのが賢明だ」とTatarigamiは忠告している。