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2025.03.12 09:00

AI人気でバイトダンス創業者が「中国一の富豪」に、資産9.7兆円

Ascannio / Shutterstock.com

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多くの投資家が人工知能(AI)分野に賭ける中、ByteDance(バイトダンス)の共同創業者である張一鳴(チャン・イーミン)は、昨年から中国の富豪ランキングで1位の座を維持している。チャンの保有資産は、昨年9月の456億ドル(約6兆7400億円)から655億ドル(約9兆6800億円)に拡大し、飲料大手「農夫山泉」創業者である鍾睒睒(ジョン・シャンシャン)の565億ドル(約8兆3500億円)を上回っている。

41歳のチャンは、非上場企業であるバイトダンスの株式を21%保有しており、その評価額が彼の資産の大部分を占める。彼は、2021年初めに同社のCEOを辞任した後、同年に会長の座も退いている。

TikTokの親会社であるバイトダンスのセカンダリーマーケットにおける評価額を、フィデリティ・インベストメンツやTロウ・プライス・グループは4000億ドル(約59兆1000億円)以上と評価している。フォーブスは、バイトダンスが最近実施した自社株買いにおける評価額や、アナリストや株主との会話から、同社の評価額を3120億ドル(約46兆1000億円)と見積もっている。

昨年9月時点での同社の評価額は、非上場企業の株式を売買できる取引プラットフォームのデータに基づき、2170億ドル(約32兆1000億円)と推定されていた。従って、現状の評価額は当時から40%以上拡大したことになる。米国の証券会社レインメーカーセキュリティーズの共同創業者兼CEOのグレン・アンダーソンは、トランプ米大統領がTikTokの売却期限として定めていた4月5日の期限を「恐らく」延長すると発言し、同社の米国での状況が改善したように見えることが追い風になったと指摘する。

一方、投資家たちは米国の対中輸出規制にも関わらず、バイトダンスを含む中国の大手テクノロジー企業の先行きを楽観視している。その背景には、ここ最近の中国政府の民間企業に友好的な政策や、同国におけるAIの進歩があり、アリババやテンセントなどのハイテク銘柄で構成されるハンセンテック指数は、過去12カ月で80%も急騰した。

MAU世界2位のAIチャットボット

「中国のハイテク銘柄は、軒並み低水準から大きく反発した」と、上海を拠点とする調査会社86Researchのアナリストのチャーリー・チャイは話す。こうした中、バイトダンスのAIチャットボットの豆包(ドウバオ)は、月間アクティブユーザー数(MAU)で世界第2位となった。

ドウバオは、バイトダンスが独自開発した大規模言語モデル(LLM)を搭載し、無料で利用できる。そのMAUは、2月に8200万人に達した。中国・湖南省を拠点とし、AI製品を追跡するウェブサイト「aicpb.com」によると、1位はOpenAIのChatGPTで、同月のMAUは4億人だった。中国のAI企業DeepSeekが1月にリリースしたチャットボットは6200万人で4位にランクインしている。

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編集=上田裕資

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