バイトダンスの広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。メディアの報道によると、チャンは同社の日常業務に携わっていないが、AI戦略において現在でも重要な役割を果たしているという。中国の国営ニュースメディアThe Paperによると、表舞台に出ることを嫌うチャンは、人間の知能に匹敵するか、それを上回る汎用人工知能(AGI)の開発を目指し、AI分野への集中を推進しており、AI人材採用の陣頭指揮を執っているという。また、地元メディアによると、彼は競合企業から優秀なAIエンジニアを引き抜くため、140万ドル(約2億1000万円)を超える年俸の支払いに合意したという。
AIへの巨額投資
また、フィナンシャル・タイムズの報道によると、バイトダンスは2025年の中国国内でのAIチップ購入に55億ドル(約8130億円)、海外でのAI関連インフラ投資に68億ドル(約1兆円)の予算を確保しているという。北京を拠点とする証券会社Cinda Securitiesが3月に公表したレポートによると、バイトダンスは昨年、AIのコンピューティングニーズに対応するため、AI関連サーバーに80億ドル(約1兆1800億円)を費やしたという。
しかし、86Researchのチャイは、中国におけるAI競争が熾烈さを増していると警告する。バイトダンスは、TikTokの姉妹アプリDouyin(抖音)といった複数の人気ソーシャルメディアプラットフォームを運営しており、それらを通じてチャットボットのドウバオの普及を図っている。しかし、AIモデルで競争をリードしているのはアリババだとチャイはいう。同社は先週、最新のAIモデル「QwQ-32B」を発表した。同社によると、QwQ-32Bは性能と推論能力が向上し、訓練にそれほど多くのデータを必要としないという。
カリフォルニア大学バークレー校の研究者らが開発したランキングプラットフォーム「Chatbot Arena(チャットボット・アリーナ)」によると、同じくアリババが開発したQwen2.5-Maxが、ユーザーによる人気投票で世界9位にランクインしているという。同ランキングでは、非上場企業であるDeepSeekのAIモデル「R1」が6位にランクインしているが、バイトダンスの製品はトップ10に入っていない。
「チャットボットは、AIの力を一般消費者に示す上で便利な消費者向けインターフェイスだが、本当に重要なのはバックエンドモデルであり、それらはパフォーマンスとコストの面でより厳密に評価されるべきだ」とチャイはいう。彼によると、86Researchがこれらの基準をもとに行った調査では、アリババの製品が最も優れているという。


