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AI

2025.03.11 10:30

続く中国AIの衝撃、自ら判断するAIエージェント「Manus」がすべてを変える可能性

helloabc / Shutterstock.com

シリコンバレーへの衝撃

長年にわたり、AI分野の主要なストーリーは、OpenAIやグーグル、メタといった米国の大手テック企業が自社の言語モデルを高度化する競争を繰り広げるものだった。最も洗練されたチャットボットを生み出した者がAIの未来を制すると考えられてきたのである。Manusは、その前提自体を覆す存在だ。

これは単なる既存AIの改良版ではなく、受動的な支援から自律的な行動へと焦点を移した、新たなカテゴリーの知能である。そして、それが完全に中国製である事実が、シリコンバレーに波紋を広げている。AI業界のリーダーたちは、中国が自律型システムの積極導入により、重要な分野で先行者優位を得るのではないかという不安を密かに認め始めている。Manusは「知能の産業化」を象徴しており、その効率性ゆえに、多くの企業が好むと好まざるとにかかわらず、人間の労働をAIに置き換えざるを得なくなる日が来るのではないかという懸念が高まっている。

今後の道筋:規制、倫理、自律性のジレンマ

とはいえManusは同時に、重大な倫理的・規制的問題を突きつける。もしAIエージェントが企業に多額の損失をもたらす意思決定を行った場合はどうなるのか。誤ったコマンドを実行して現実世界に実害を及ぼした場合は、誰が責任を負うのか。監督なしで行動するよう訓練された自律システムが不適切な判断を下したとき、その結果は誰に帰属するのかという問題である。

歴史的にAI活用に積極姿勢を示してきた中国の規制当局ですら、Manusのような高度な自律性に対しては明確なガイドラインを示していない。一方、西側の規制当局はさらに大きな困難に直面している。従来の法制度はAIに人間の監督が不可欠だと想定しているが、Manusはその根幹を揺るがす存在だからだ。

今や「Manusが本物かどうか」が争点なのではない。膨大な証拠があり、その実在性に疑いの余地はほとんどない。より重要なのは、世界のその他の地域がどれほどすみやかに追随できるかという点だ。自律型AIエージェントの時代はすでに幕を開け、中国が先頭を走っている。人間だけが知能を持つとは言えなくなるこの新しい現実の中で、われわれは働き方や創造、そして競争のあり方を根本的に見直さざるを得ないのかもしれない。

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forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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