米連邦政府が一般向けに大量のテキストメッセージを送信するためのシステムの「Notify.gov」が、運営停止の危機に瀕していることが明らかになった。
この政府のツールは、2023年に総務庁(GSA)の技術変革サービス(TTS)部門によって設立され、連邦機関が米国市民に重要な警告や通知を送信するために使用されてきた。例えば、特定のグループに対する低所得者向け医療保険のメディケイドの保障が終了することを通知する目的などで利用されてきた。
Notify.govのソースコード内には3月6日時点で「Notify.govのテキストメッセージサービスは利用できなくなりました」という一文が追加されていた。しかし、Notify.govのウェブサイト自体は変更前のまま表示されており、このコードの変更がまだ実装されていないことを示している。
GSAの関係者2名がフォーブスに対し、このソースコードの変更が本物であることを認めた。
「このプロジェクトにいた連邦職員は全員、解雇されたか、他部署へ異動した。もしくは辞職した」と、そのうちの1人はフォーブスに語り、政府がNotify.govの部門を閉鎖する計画だと述べた。
GSAは、この件に関するフォーブスからのコメント要請に応じていない。
Notify.govの閉鎖が迫っている背景には、イーロン・マスクが率いる政府効率化省(DOGE)のメンバーが最近、GSAの指導的立場に就いたことが挙げられる。フォーブスが以前報じたように、新たなGSAの指導部とデジタルサービスを改善・支援するTTS部門の一般職員との間には権力闘争が生じている。
GSAは先日、政府機関向けのクラウドサービスやデジタルツールの開発・提供を行うTTSの下部組織の「18F」を廃止し、70のポジションを削減した。
マスクの「側近」との対立
Notify.govの主任エンジニアは先月、マスクの側近である25歳のトーマス・シェッドに管理者権限を引き渡すことを拒否した直後に辞職した。シェッドは、サービス利用者の個人情報(電話番号やメディケイドの加入状況を含む)へのアクセスを要求していたが、そのエンジニアは要求が不当であると考えて拒否していた。
GSAの関係者はフォーブスに対し、「アクセス権は提供されなかった」と語った。「Notifyのチームがシステムの管理権限を維持していたが、彼らが去った今、システムを管理する者がいなくなった。この部門は、管理者がいない『ゾンビシステム』になるのを防ぐために閉鎖される」とその人物は述べている。
2024年3月のブログによると、Notify.govは米国務省やアリゾナ州の「早期介入プログラム」(発達障害を持つ幼児とその家族への支援を提供する州の経済安全保障局の一部)などの政府機関に利用されていた。
さらに、バージニア州ノーフォーク市の人事福祉部門は、Notify.govを使って8000件以上のテキストメッセージを家庭に送信し、メディケイドの更新期限や適格要件について知らせ、健康保険の継続を支援していた。
これらの政府や州、地方の3つの機関の代表者は、フォーブスのコメント要請に応じなかった。
Notify.govの閉鎖に関するニュースは、政府の技術関連ニュースを専門に報じるオンラインメディアNextgovが最初に報じていた。