米トランプ政権は1月29日、フルタイムの連邦政府職員200万人に、2月6日までに退職に応じれば、9月30日までは給与を支払うという提案を行った。その結果、ホワイトハウスのレビット報道官は6日、これまでに6万人超が退職を受け入れたと明らかにした。
しかし、この退職プログラムは、民間企業が社員に自発的な退職を促す際の経験則に反するものであり、組織のパフォーマンスを損なわずに実施できるものとは考えにくい。
民間企業で一般的な希望退職プログラムにおいては、割増した退職金や数カ月分の退職手当、年金の上乗せなどを組み合わせたインセンティブが用意される。そして、それでも削減が不十分な場合に大規模な解雇が行われる。
しかし、イーロン・マスクが主導したと報じられたトランプ政権の退職勧奨には、最も優秀で市場価値の高い人材が真っ先に退職してしまうという大きなリスクがある。「もし、最も優秀な人材が流出してしまえば、組織を前進させることができない人々だけが残ることになる」と、人事コンサルティング会社セガル・グループの副社長、アリソン・ヴァイヤンコートは指摘した。
ツイッターの人員削減との類似点
これは、トランプの友人であるマスクが2022年にツイッター(現X)を買収した直後に、「非常に厳しい勤務スケジュール」を受け入れるか、退職金をもらって会社を離れるかを従業員に迫ったときと同じ構図だ。今回の政府による退職勧奨のメールには、マスクがツイッターの人員削減で使用したものと同じ「岐路に立つ(a fork in the road)」という表現が使われていた。マスクは、2023年に行われたCNBCのインタビューで、解雇した人員の一部を再雇用しなければならなかったと認め、「もし、彼らが私たちにそれほど怒っていなければ、また雇いたい」と語っていた。
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