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北米

2025.02.11 08:00

マスクが主導したと噂、米政府200万人「退職勧奨」が悪手である理由

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トランプ政権が掲げた非現実的な目標

OPMは、連邦職員の約10%が退職勧奨に応じると予想していた。トランプ政権の高官は、この措置によって納税者の負担を1000億ドル(約15兆円)削減できると主張したが、レシュ准教授はこの数字に強い疑念を抱いていた。

「これは楽観的どころか、完全に非現実的な数字だ」と彼は述べていた。実際、政権が想定する23万人が退職したとしても、給与と福利厚生のコスト削減は約363億ドル(約5兆5000億円)程度のものだ。この見積もりは、連邦職員1人当たりの平均コストが約16万ドル(約2400万円)だという米国経済分析局のデータに基づいている。

さらに、今回の退職勧奨には多くの法的・財政的リスクがある。連邦職員組合や民主党議員は、法的根拠が不明確なため、退職するべきではないと警告した。

また、連邦政府の予算は3月14日までしか確保されておらず、9月30日までの給与保証が実現可能かどうかも不透明だ。民主党のティム・ケイン上院議員は「職場に出てこない人に支払うための予算枠は存在しない」と述べていた。

それでも、民間企業で需要の高いスキルを持つ一部の連邦職員にとっては、この退職勧奨が魅力的に見えたことは確かだろう。特に、彼らがホワイトハウスから愛されていないと感じている今の状況ではなおさらだ。

「彼らは木を揺さぶって、何が落ちてくるかを見ているのだろう。しかし、職場を去るのが最も優秀な人材だった場合、どうなるのかが問題だ」と、連邦政府の元人事担当者、ロバート・ミラーは指摘した。「政権はそもそも、優秀な人材がいるとは考えていないのかもしれない」と彼は続けた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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