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北米

2025.02.15 08:00

マスクの「コスト削減部隊」に怯える米国防総省、AI計画も再編中

米政府効率化省(DOGE)を率いるイーロン・マスク(Andrew Harnik/Getty Images)

米政府効率化省(DOGE)を率いるイーロン・マスク(Andrew Harnik/Getty Images)

米国防総省(ペンタゴン)の幹部たちは、イーロン・マスクが率いるコストカット部隊の監査に備え、軍の膨れ上がった予算や、各種の古びた兵器システムの精査を行っている。

マスクが率いる政府効率化省(DOGE)のメンバーは、すでに複数の連邦機関にメスを入れ、広範な混乱を引き起こしているが、間もなく国防総省の監査に着手する予定だとフォーブスの取材に応じた関係者は語った。連邦予算から2兆ドル(約305兆円)を削減する任務を任されたDOGEは、年間1兆ドル(約153兆円)近い予算を持つ米軍に前例のない変化を迫る可能性がある。

米議会の議員らは、長年にわたり過剰な国防費の削減に取り組んできたが、その試みはほとんど成果を上げられておらず、数年前には空軍が長距離輸送機C-17のトイレの便座交換で、1つにつき1万ドル(約153万円)もの費用を計上したというニュースが報じられた。トランプ大統領は、先日のスーパーボウル当日に行われたインタビューで、DOGEによる軍事予算の精査によって「数千億ドル規模のムダや不正が明るみに出るはずだ」と述べていた。

ピート・ヘグセス国防長官も、DOGEの取り組みを歓迎しており、「マスクとは連絡を取っている。彼は偉大な愛国者で、アメリカファーストの理念を推進している」と、2月11日のFOXニュースのインタビューで語っている。

ヘグセスは、兵器の購入コストや人員の削減に焦点を当てると述べている。関係者によると、DOGEの職員は国防総省に直接雇用され、コスト削減の実行に専念するという。

国防総省の幹部たちはDOGEによる調査を前に、すでに古びた軍のプログラムの削減に着手している。関係者によるとその中の1つは、戦闘機関連の予算の削減で、新規の契約の一時停止や異なる業務の統合が進められている。以前から戦闘機を目の敵にしているマスクは、昨年11月のX(旧ツイッター)の投稿で「いまだにF-35のような有人戦闘機をつくっているマヌケもいる」と述べていた。

そんな中、特に大きな試練に直面している空軍は、戦闘用のドローンの利用が拡大する中で、有人戦闘機の未来を守ろうとしているが、ヘグセスは先に、中国への対応能力の強化を目的とした第6世代のジェット戦闘機の開発を含む再編計画の協議を一時停止した。空軍は、今から2週間前に新型戦闘機のエンジン開発の継続に向けて、ゼネラル・エレクトリック(GE)とプラット・アンド・ホイットニー(P&W)に数十億ドルを与える契約を結んだばかりだった。

軍のAIプロジェクトにも変化が

国防総省の幹部は、新技術の育成を担う3つの組織である「国防革新部(DIU)」と「最高デジタル・人工知能室(CDAO)」、「戦略能力室」を統合する計画にも取り組んでいると、3人の関係者がフォーブスに明かした。この統合により、CDAOの管轄下にある民間のテクノロジー人材を軍に取り入れるためのプログラムの「国防デジタルサービス(DDS)」が閉鎖される可能性があるという。

「これらの組織の統合は、イノベーションの取り組みに、明確で統一された目標を与え、国家安全保障の向上に直接つながるようにするための、稀な機会を生み出すことになる」と国防系ソフトウェア企業Second Front(セカンドフロント)のタイラー・スウェットCEOは述べている。彼の企業は、年間予算が約10億ドル(約1530億円)のDIUからの資金提供を受けて、民間企業の軍のネットワークへのアクセスを支援している。
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編集=上田裕資

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