無作為に振り分けられた2つのグループのうち、運動を行ったグループでは対照群と比較して、アンケートに基づく主観的な睡眠の質と、生理学的パラメータに基づく客観的な睡眠の質が、どちらも有意に改善した。さらに、ストレス耐性や心血管系の健康状態、ウェルビーイング(心身の健康と幸福)の指標となる心拍変動にも改善がみられた。
睡眠医学の専門誌Sleep Medicineに発表された研究論文では、中等度~重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の患者を対象に、HIITが主観的な睡眠の質と日中の眠気にどのように作用するかを調べた。OSAは睡眠中に気道が閉塞して呼吸が停止し、睡眠サイクルが乱れる病気だ。
研究では参加者をHIIT群と対照群に無作為に分け、HIIT群には最大心拍数の90~95%の運動強度での4分間のトレッドミル運動と、最大心拍数の50~55%での3分間のウォーキングを5セット、週3回行ってもらった。12週間後、ストレッチを週2回行った対照群と比較して、HIIT群では睡眠の質が改善し、日中の眠気も減少した。
・筋トレ
ウェイトトレーニングやスクワット、プッシュアップ、チューブトレーニングなどの自重運動は、身体の全般的な健康を増進し、夜間不眠を軽減する。
筋力トレーニングと睡眠の関連性をランダム化試験で調べた研究では、参加者のうち18人に55分間の筋トレを週3回、12週間にわたって続けてもらった。筋トレのメニューは10~12回の反復を3セットとし、各セットの間に1分間のインターバルを設けた。対照群の12人と比較して、筋トレを行ったグループでは睡眠の質が改善し、睡眠時間が1晩あたり42分伸びた。
・心と体のエクササイズ
リラックスヨガ、腹式呼吸法、マインドフルムーブメントは神経系の緊張を緩和し、寝つきをよくして中途覚醒を減らす。
中国で行われた横断研究では、60歳以上を対象に、ヨガのエクササイズを長期的に続けた場合に睡眠の質と生活の質(QOL)にどのような影響が現れるかを評価した。その結果、ヨガを定期的に行っている人では、睡眠の質とQOLの両方に大きな改善がみられた。