人工知能(AI)を活用したボットがウェブから情報を収集し、要約した回答を生成するAI検索エンジンを提供するOpenAIやPerplexity(パープレキシティ)などの企業は、より多くの読者をサイトに誘導することでパブリッシャーに新たな収益源をもたらすと主張してきた。
しかし、パブリッシャーとAI企業との間のライセンス契約を仲介するTollBit(トールビット)がフォーブスに提供した新たなレポートによると、AI検索エンジンはニュースサイトやブログへのトラフィックを、従来のGoogle検索に比べて96%も減少させているという。一方で、AI企業によるウェブサイトのスクレイピングは、ここ数カ月で倍増したと同レポートは指摘している。
TollBitが、国内外の160のウェブサイトを対象に実施した調査によれば、OpenAIやPerplexity、メタを含むAI企業は、昨年第4四半期に平均200万回のスクレイピングを行っていた。
「ユーザーが、AIボットに何かを質問するたびに、それらのボットがサイトを猛攻撃しているのが現状だ。ボットからのコンテンツに対するアクセスは無視できないレベルに達している」とTollBitのCEOを務めるトシット・パニグラヒは述べている。
TollBitは、AIにコンテンツを利用されたパブリッシャーが、失われたページビューの代償を得られるようにする仕組みを提供する企業で、AI企業がパブリッシャーのコンテンツをスクレイピングするたびに料金を請求している。
OpenAIは、コメントを控え、メタはフォーブスのコメント要請に返信しなかった。Perplexityの広報担当者は、レポートの具体的な指摘には言及せず、ウェブサイト内の「robots.txt」の指示に従っていると述べた(robots.txtは、クローラーがサイトのどの部分にアクセス可能かを指示するテキストのこと)。
調査企業ガートナーは昨年2月、従来の検索エンジンからのトラフィックが2026年までに25%減少すると予測し、その主な要因にAIチャットボットやその他のバーチャルエージェントの影響を挙げていた。検索からのトラフィックに依存する企業はすでに影響を受け始めている。
検索トラフィックの減少
米国のオンライン学習プラットフォームChegg(チェグ)は最近、グーグルの生成AIが同社のコンテンツを無断で要約して提供し、サイトへの訪問者を奪い、収益の減少を招いたと主張する訴訟を起こした。Cheggのサイトへの訪問者数は、今年1月に前年同月比で49%減少したという。この深刻なトラフィックの減少を受け、ニューヨーク市場に上場するCheggは、非公開化や売却の可能性を模索していると、CEOのネイサン・シュルツは決算説明会で述べていた。