例えば旅行予約サイトのKayak(カヤック)のような企業は、「AIによる概要」の登場により、ユーザーがグーグルのサイト上で必要な答えをすべて得られるため、自社のサイトに来訪者がいなくなることを懸念した。
「例えばフライトの状況を確認する人が、Kayakのサイトに来なくなった。彼らが必要な知識は、グーグルのAIから得られるからだ」とKayakのCEOで共同創業者のスティーブ・ハフナーはフォーブスに語った。
これは、グーグルのAIプロダクトが、同社の検索に依存する企業に悪影響を及ぼし始めていることの一例だ。ハフナーは、「AIによる概要」が「当社の事業に小さな悪影響を与えている」と認めたが、具体的な数値は明らかにしなかった。Kayakは、「AIによる概要」の下に表示される最初の数件の広告リンクに対する入札額を増やすことでこの状況に対応している。「エコシステム全体でクリックアウトが減少している。だからこそ、今まで以上に残っているクリックを争うことが重要だ」とハフナーは述べている。
グーグルの検索サービスは、単純に質問の答えが得られる場所ではなく、多くの企業が顧客を見つけるための基盤として機能している。同社の「AIによる概要」は、検索結果から外部のサイトにクリックを誘導せずに人々の質問に答えることで、この仕組みを崩壊させる可能性がある。現在、グーグルからのトラフィックに依存する企業は、マーケティング戦略を見直して新たな方法で自社のサイトにユーザーを引き込もうとしている。
トラフィックの減少
特に旅行業界の企業は、グーグル検索の変化に左右されやすい状況に置かれている。旅行レビューサイトのTripadvisor(トリップアドバイザー)は、SEO(検索エンジン最適化)の手法の研究を強化するなどして、世界中でコンテンツがどのように表示されるかを注視している。トリップアドバイザーのマーケティング部門幹部のマット・デイシーは、グーグルが「AIによる概要」をより多くのクエリに展開するにつれて、今後の6カ月から18カ月の間に、より多くの人々がAI検索を使い始めると予測している。「本格的なシフトが起これば、検索結果そのものが大きく変わるだろう。だからこそ、私たちは今それを非常に注意深く観察している」と彼は語った。