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スポーツ

2025.03.05 11:30

国際サッカー界から追放されたロシア、出場停止の解除はいつ?

ロシア・モスクワのルジニキ競技場で行われた2018年サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会で、開幕ゴールを決めた同国代表のユーリー・ガジンスキー(左)。2018年6月14日撮影(Matthias Hangst/Getty Images)

ロシア・モスクワのルジニキ競技場で行われた2018年サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会で、開幕ゴールを決めた同国代表のユーリー・ガジンスキー(左)。2018年6月14日撮影(Matthias Hangst/Getty Images)

欧州サッカー連盟(UEFA)は先週、執行委員会の選挙に立候補を表明した候補者の名簿を公開した。投票は4月の総会で実施される。

候補者の中には、アンドリー・シェフチェンコ、リセ・クラベネス、アイバル・ポフラクなど、そうそうたる名前が並んでいる。欧州最優秀選手賞「バロンドール」にも輝いた世界的な名選手だったシェフチェンコは現在、ウクライナサッカー協会の会長を務めている。女性で初めてノルウェーサッカー協会の会長に就任したクラベネスは率直な意見を述べることで知られており、エストニアサッカー協会の会長を務めるポフラクの評判は母国では賛否が分かれている。しかし、恐らくそれ以上に注目すべきは、誰が候補者名簿に載らなかったかということだ。つまり、ロシアのアレクサンドル・ジューコフだ。

ロシアがウクライナに侵攻すると、ポーランド、スウェーデン、チェコは、ロシアとの試合を拒否。これを受け、国際サッカー連盟(FIFA)とUEFAは同国を国際サッカー界から追放した。だが、ロシアの関係者は依然としてUEFAで重要な地位を占めている。現在、ロシアサッカー協会の会長やUEFA執行委員を務めるジューコフは、ロシアの国営石油企業ガスプロムネフチの最高経営責任者(CEO)でもある。英政府は、ジューコフが「国営企業であるガスプロムネフチの重役として、ロシア政府を支援し、政府から利益を得ている」として、同CEOを制裁対象に指定した。英国のほか、米国、ニュージーランド、オーストラリアもジューコフを制裁対象としている。UEFA執行委員を務めるジューコフは、現在の地位を維持するために、来たる選挙に立候補する意向はないようだ。UEFAでは、ロシアの大富豪オレク・デリパスカの元妻であるポリナ・ユマシェワも、資格認定を担当するガバナンス・コンプライアンス委員会の中に名を連ねている。

UEFAは2月27日、「同連盟が主催するすべての大会からロシアを出場停止にするというUEFA執行委員会の決定はクラブとチームに適用されるが、個人、役員、選手、コーチには適用されない」と説明した。他方で、同国に対する出場停止処分が今年中に解除されるのかという差し迫った問題には触れなかった。

先に開かれたロシアサッカー協会の総会では、ジューコフが会長に再選された。UEFAで加盟国の協会を統括するセルビア出身のゾラン・ラコビッチは同総会に出席し、長い演説を行った。ラコビッチは「ロシアのサッカー代表チームをはじめとする同国のスポーツ界が、今年こそは以前の地位に復帰することを期待している」とした上で、「ロシアは欧州のスポーツ界に戻ってくるだろう」との展望を示した。現在ロシアが置かれている状況について、かつてセルビアサッカー協会の事務総長を務めていたラコビッチは、1992年の欧州選手権で自国のユーゴスラビアが内戦のために出場停止処分を受けた経験になぞらえた。「スポーツの大原則は、すべての人に参加を保証することだ。スポーツは団結し、完全に独立したものでなければならない。残念ながらこの原則は1992年に破られ、現在のロシアに対しても同じことが繰り返されている」

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翻訳・編集=安藤清香

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