リモートワークが定着して、フリーランス以外にも好きな場所で仕事ができる人が増えてきた。それにともない、各地にはユニークなコワーキングスペースが登場して盛り上がりを見せているが、なかには地域振興を兼ねつつ、いにしえの文豪の「カンヅメ」気分を味わえるという温泉街のコワーキングスペースもある。
岡山県真庭市が運営する日帰り温泉施設「湯本温泉館」に、リモートワーク用の設備が整ったコワーキングスペース「Uffice」(ゆフィス)が2022年にオープンした。湯本温泉は、岡山県と鳥取県の県境に近い山の中にあり、都会からは少々距離があるものの、それだけに自然に囲まれた静かな環境に身を置ける。しかし通信設備や仕事環境は都会と変わらない。温泉施設の3階にあり、入浴券(大人600円)を買えば、天然温泉やサウナに入り放題となる。
宿泊はできないものの、昔の小説家が温泉宿に長逗留して執筆に専念する、いわゆる「カンヅメ」の気分が味わえると真庭市は宣伝している。明治の文豪が利用したようなひなびた和室とまではいかないが、畳敷きの個室(シェアオフィス)もある。通常のコワーキングスペースや会議室は最新設備の効率的な仕事環境になっている。コワーキングスペースの利用料は1時間300円(1日最大1500円)、シェアオフィスは1時間500円と格安だ。