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サイエンス

2025.02.24 16:00

1500年の伝統をもつ中国のコオロギ相撲「闘蟋」、そのルールと勝つための科学

中国のコオロギ相撲「闘蟋」(In Pictures Ltd./Corbis via Getty Images)

コオロギ「選手」たちのケア

「質の高い」コオロギの選別だけでなく、コオロギの世話もまた、ある種の科学だ。選手たちは「養盆」と呼ばれる小さな陶器の器で飼育される。器は古いほど価値が高いとされるが、これは、新しい器はコオロギの健康を害する物質を発するとされているためだ。

器の中には「鈴房(リンファン)」と呼ばれるコオロギの寝床や、幅2センチくらいの小さな水皿や餌皿が置かれる(絵柄がついた陶器製だ)。餌皿などの交換の際には、コオロギに触れないようピンセットが使われる。

コオロギに与える餌は、飼い主の経験と好みによってさまざまだ。ある研究者は次のように記録している。

「基本的に、人間が食べるものは何でもコオロギに与えられる。魚、エビの頭、カニの肉、豚の赤身肉、カエルの脚、魚の骨、ヘビの肉、豚レバーなどをミキサーにかけ、粥と混ぜたものをコオロギの主食する人もいる(中略)調理法もまた多様だ。すべて加熱して与えるべきだという人もいれば、生で与えることにこだわる人もいる」

対戦の準備段階では、さまざまな要素が考慮される。何よりもまず、コオロギの体重測定には高精度な天秤が用いられ、フェアな対戦になるよう同体重の個体が組み合わされる。試合前にコオロギをドライヤーで温めたり、軽い下剤を与えたりして「減量」する飼い主もいる。

不正防止のため、対戦前の最大12時間は、コオロギを密封容器に保管しなければならないというルールが定められる場合もある。コオロギに「ドーピング」を施して、勝利の見込みを大きくしようとする飼い主がいるためだ。

対戦は通常3回勝負で、先に2勝した方が勝者となる。コオロギは「闘盆」と呼ばれる小さな楕円形のリングに入れられる。勝敗は、片方が逃げ出すか、勝者が勝ちどきを上げるようにして鳴きながらリングを一周することで決まる。

forbes.com 原文

翻訳=的場知之/ガリレオ

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