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サイエンス

2025.02.15 17:00

ペンギンも「離婚」する、その生物学的理由と人類が学べること

頻繁に離婚を繰り返すコガタペンギン(Dzung Vu / Shutterstock.com)

頻繁に離婚を繰り返すコガタペンギン(Dzung Vu / Shutterstock.com)

ペンギンは昔から、永遠の愛の象徴と称えられてきた。人気を集めたドキュメンタリー調の映画にもなった、氷原を行進するコウテイペンギンたちの献身から、愛情の印として小石をプレゼントするジェンツーペンギンまで、この飛べない鳥たちは一夫一妻の模範のように見える。

しかし、研究者たちがペンギンの生活の裏側まで踏み込んで調べるにつれ、複雑な実態が明らかになった。ペンギンも、時には「離婚」するのだ。

注目すべき新発見が報告されたのはオーストラリアのフィリップ島で、ここにはコガタペンギン(学名:Eudyptula minor)たちの世界最大のコロニーがある。コガタペンギンは、青みがかった羽をもつ、体長40cm程度のかわいらしい海鳥だが、最近になって、人間の結婚生活セラピストも呆れるほどの頻度でパートナーに見切りをつけていることが判明した。

離婚したペンギンのなかには、その後の暮らしをエンジョイしている個体もいるようだが、こうした行動はコロニー全体の健全性に影響を与える。

コガタペンギン(Shutterstock.com)

コガタペンギン(Shutterstock.com)

愛だけでは足りないこともある

フィリップ島に生息する約1000組のコガタペンギンのつがいを13年にわたって追跡調査した研究結果が、最近になって報告された。これによると、実に250組が離婚を経験していた。離婚率は年によってばらつきがあり、5%という控えめな年もあれば、36%という驚きの年もあった。離婚率に最も影響を与えていたのは、環境条件と繁殖の成功率だった。

豪モナシュ大学の研究チームは、繁殖成功率が低調に終わったシーズンのあとには、これが引き金となって破局が頻発することを明らかにした。

「調子がいい時期の彼らは、おおむねパートナーに忠実です。隠れて多少の火遊びをしていることはよくありますが」と、研究チームを率いたリチャード・レイナ博士は、大学のプレスリリースで述べている。「しかし、成果に乏しい繁殖期を経験したあとには、子孫繁栄を求めて、新しいパートナー探しに乗り出すのです」

この行動は興味深く、また現実的な生存戦略として理にかなっている。

多くの動物と同じように、ペンギンもまた繁殖成功を重視する。今の配偶相手との間で子を残せなかった場合、片方または両方の個体が「損切り」を選び、新しいパートナーとの再出発を試みることがあるのだ。ペンギンにとって離婚とは、「より質の高い」配偶相手を探し、自身の長期的な繁殖成功を高めるチャンスでもある。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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