カフェインには、ミツバチの学習記憶能力の増強効果や延命効果などの昆虫に対する驚くべき効能が知られている。また、過剰摂取によって発育抑制や寿命への負の効果も報告されている。しかし、こうしたカフェインの効果は明確にされてこなかった。とくに、カフェインの摂取濃度による殺虫効果の違いについてはほとんど注目されてこなかったとのこと。そこで、岡山大学大学院環境生命自然科学研究科博士後期課程2年の留学生Shine Shane Naing氏は、宮竹貴久教授らと共同で、ヒロズキンバエを使い、昆虫へのカフェインの影響を調査した。

自然由来の殺虫剤としてカフェインを散布することがあるが、その効果がはっきりしない理由として、昆虫が散布された苦いカフェインを口から摂取しているかどうかわからないという点にあった。そこで、カフェインを砂糖水に溶かしてヒロズキンバエの成虫に与えてみた。すると、カフェイン濃度が0.5パーセント以上になると、本来30日ほどの寿命があるハエが、7日以内でほぼ死滅することがわかった。コーヒーのカフェイン含有率は多くて1パーセント程度なので、薄いコーヒーでもハエは若死にしてしまうというわけだ。

このことから、人にあまり害のない自然由来の殺虫剤としてカフェインを効果的に利用できる可能性が示された。Shine Shane Naing氏はJICAの農業セクター中核人材育成の支援とミャンマーの国費支援でミャンマーから来日しているので、カフェイン殺虫剤が「国際的に」実用化されるかもしれないと宮竹教授は期待を寄せている。
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