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サイエンス

2025.02.21 18:00

世界で最も厳重に保護される木、偶然発見された「生きた化石」ウォレミマツ

ウォレミマツ(JuliaGPhotos / Shutterstock.com)

ウォレミマツ(JuliaGPhotos / Shutterstock.com)

オーストラリア、ニューサウスウェールズ州にあるウォレマイ国立公園の人里離れた渓谷には、途方もなく希少な太古の木々がひっそりと佇む。自生地の正確な場所は重要機密だ。

ウォレミマツ(学名:Wollemia nobilis)は、2億年前から続くナンヨウスギ科の針葉樹の1種で、かつては地球上から姿を消したと考えられていた──1994年に偶然発見されたことによって、植物学の歴史が書き換えられるまでは。

以来、この有史以前からの生き残りは、世界でもほとんど例のない集中的な保全努力の中心に置かれている。野生群生はごくわずかな数の木々からなり、厳重な監視下に置かれ、密採や病気、環境ストレスから保護されている。

自生地への訪問を許可された人々は、汚染除去のプロセスを経なければならない。ジュラ紀からの生き残りであるこの木々が、現代の脅威にさらされないようにするためだ。

1994年のウォレミマツの発見は、純然たる偶然だった

1994年9月、ニューサウスウェールズ州国立公園・野生動物局のレンジャーだったデビッド・ノーブルは、ウォレマイ国立公園の深く狭い峡谷をトレッキングしていた。経験豊富な探検登山家のノーブルは、この急峻な土地を以前にも歩いたことがあったが、このとき何かが彼の目に止まった。

うっそうとした植生を見下ろしてそそり立つ1本の木は、彼がそれまでに見たどんな木にも似ていなかった。暗色で節くれ立った樹皮は、まるで煮立ったチョコレートのようで、シダのような葉は、本で見たことのある化石に奇妙なほど似ていた。彼は興味を引かれ、種同定のためにいくつかサンプルを採取し、持ち帰った。

その後に起こったことは、20世紀最大級の驚異と言える植物学的発見だった。専門家は、この木が新種であるだけでなく、まったく新しい属(Wollemiaと命名)であり、しかもイチョウ(学名:Gingko biloba)のような「生きた化石」の希少な例であることを裏づけた。近縁種が生きていたのはジュラ紀であり、ウォレミマツは大量絶滅を乗り越え、人里離れた渓谷で孤立したまま、撹乱を受けずに生き延びてきたのだ。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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