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ビジネス

2025.02.21 14:15

移動データは誰のもの? 名古屋発モビリティ未来論【TechGALAレポート#2】

左からモデレーターのIDEAPOST代表取締役社長で名古屋大学客員准教授の平山雄太、トヨタコネクティッド常務取締役の伊藤 誠

岩田:JR東日本さんの発表だと、位置情報を使うとか、生活インフラに進化していくことなどを明らかにされています。当社でも話はしていますが、(次世代のSuicaと)同じものを作るということよりも、マイナンバーなど行政がもっているIDとAPIをかけて連携していくとか、囲い込んで(市場の)誰かが覇権を取るのではなく、インフラ化してお互いAPIで連携し、お客様の利便性を高めるようなサービスを作るための議論を行っていく必要があると考えています。

災害時のモビリティ活用「以外な盲点」

伊藤:我々もデータは結構使っています。車を購入したお客様のために、GPSのデータから交通情報を作って、お客様のナビに渋滞情報を提供することは20年近く前からやっていますし、車のワーニングといって、車に何かインシデントがあると表示されると思うのですが、それを遠隔から解析し、走行を継続できる状態かどうかを判断して情報を返しています。


最近はもう少し進化して、その情報から将来のインシデントを予測することもやっており、お客様がインシデントに合う前に車のコンディションをよくするためのオペレーションをしていく。お客様の安全や便利・快適のためにという使い方もあります。

もう少し幅広く社会のためにというところでは、先ほどの渋滞情報のやり方を変えて、車の通行実績データから「通れた道マップ」というものをWeb上で無償提供しています。災害時にかなり多くの方が利用していて、能登半島地震の時はサーバーがパンクするほどでした。災害救助の方にも、より早く物資を運び、救助に向かうために使われていました。

また、道路はメンテナンスしないと劣化し、穴が空くなどして事故につながりますが、走行する車の振動データから道路の凸凹を検知して、行政に情報提供しています。行政は点検のために専用車両を走らせるなどしていますが、データを用いてそれを生産性高く行えるようなこともやっています。

データを使う大きな課題としては、リアルタイムデータには大きな費用がかかること。まず通信費がかかるのと、クラウドにデータを溜めているのですが、その費用が馬鹿にならない。開発費は抑えられても、ランニングコストがかかり続けるので、果たしてビジネスになるのかという点が大きいんです。結局は行政がそのために税金を投入し続けるのかということになりますので。

平山:先ほど防災の話も出ましたが、ドローンですと空から状況把握ができたりと、モビリティ全般で考えた時に災害時に果たす役割は非常に大きく、期待されている部分かと思います。戸谷さん、いかがでしょうか。

戸谷:ドローンは、データそして通信のために多くの電力を使用します。当社は能登豪雨の時、数日現地に入りましたが、そこで色々わかったことがありました。まず、ドローンは簡単には役に立たない。被災地は停電していますから、電力がないのです。通信が途絶した状態では、ドローンは飛んで2km、3km。雨が降ると1km飛ばないのです。そこでエンジン付きのものを作りました。これで物を届けることはできます。



ただ、被災者が本当にほしいのは物ではなく「明かり」だったのです。暗いことが本当に怖いらしく。今やろうと思っているのが、集落の四隅の上空にエンジン付きのドローンでバルーンライトを上げることです。ドローンで医薬品を落とすことも大事ですが、「明かりがあると安心する」というのは目から鱗でした。

今、業界の専門家たちが熱視線を注ぐ技術

平山:最後に今、注目している技術やサービスについてお話しください。

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文=真下智子 編集=大柏真佑実

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