
航空機が日本の空を飛ぶためには、安全性を確保するなどの理由から、国土交通省の型式証明が必要になる。従来型の飛行機やヘリコプターの場合は、長い歴史もあり審査基準はほぼ固まっている。しかし、空飛ぶクルマ、またはeVTOL(電動垂直離着陸機)のようなまったく新手の乗り物については、飛行中に電池が切れたらどうするかなど、未知の領域が多く、その基準は定まっていなかった。

型式証明は個々の機種に対して出されるため、適用基準も機種ごとに異なる。国交省航空局は、2021年、eVTOLとして日本で初めてSkydriveの型式証明申請を受理。2022年3月には空飛ぶクルマの型式証明審査の適用基準の構築に関して同局とSkydriveが合意し、協議を重ねてきた。今回の適用基準の発行で、ようやく日本の街の上空を飛ぶための道筋が具体化された形だ。ちなみに、アメリカの連邦航空局も型式証明申請を受理しているが、適用基準はまだ発行されていない。今回の適用基準発行は、Skydriveのみならず、日本のほかのeVTOLメーカーの型式証明取得にも弾みを付けるものと期待される。

Skydriveが開発中の「Skydrive式SD-05型」は、12基の電動ローターを備えた3人乗り(操縦士1名と乗客2名)のeVTOL。最大巡航速度は時速100キロメートル、航続距離は15〜40キロメートルとなっている。大阪・関西万博で実機が初披露される予定だ。
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