使用するのはアメリカのBETAが製造する「ALIA CX300 CTOL」というeCTOL(イーシートール:滑走路を使って離着陸する電動固定翼飛行機)。今年中にアメリカの型式証明を取得する予定だが、国土交通省の試験飛行許可が得られれば今年の夏には飛行が可能になるということだ。
ヤマトホールディングスのプレスリリースによれば、ALIA CZ300 CTOLは最大560キログラムの貨物を搭載して400キロメートルほどの距離を飛行できるということだ。BETAの資料によれば、充電時間は1時間未満、速力は時速約250キロメートル、カーゴ仕様では貨物室の広さは約5.6立方メートルとなっている。北九州空港と宮崎空港の間を飛行する予定で、貨物輸送を想定した電動航空機による2点間飛行は日本初の試みだ。

この検証は、BETA、双日、ヤマトホールディングスとの共同で実施される。BETAは機体と充電インフラを提供し、効率的な貨物輸送のアドバイス、試験飛行の運航オペレーションを担当する。双日は機体の導入や試験飛行のための各種手続き、検証全体のコーディネートを行う。ヤマトホールディングスは、昨年7月に北九州市と物流連携協定を締結し、持続可能な物流ネットワークの構築のための取り組みを行っているが、その一環として検証に参加する。
この検証を通じて、脱炭素化を進めつつ、離島を含めた地域の高速物流網の構築を目指すとしている。eCTOLは、エンジンの代わりに電気モーターでプロペラを回転させることを除けば、通常の飛行機と同じ。空飛ぶクルマに採用されるeVTOLと比べてエネルギー効率がよく、運用コストも低いとされている。人口が密集する都市部では垂直離着陸で短距離を移動するeVTOLが理に適っているが、地方では小型のeCTOLが大いに活躍することだろう。
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