空飛ぶクルマと建築の共存と進化 eVTOLの可能性を追う

プレスリリースより

電動垂直離着陸機(eVTOL)の開発が世界で進められている。いわゆる「空飛ぶクルマ」だ。しかし、現在発表されている各社の試作機を見ても、はたして「クルマ」なのかどうか疑問符がつく。三菱地所は、eVTOLが実際にクルマとして活躍できる社会を建物の変革で実現しようと考えた。

三菱地所は、建物の内外の人の移動をシームレスにする新時代の移動形態「シームレス・モビリティー・システム」を提唱しているが、その考えを都市の上空にまで広げ、eVTOLの新たな可能性を提案した。不動産デベロッパーとして描くのは、eVTOLによって広がる未来の都市の姿だ。

同社が提案するeVTOLは、人が乗るキャビンユニット、プロペラユニット、車輪のある走行ユニットの3つを組み合わせる「Passenger VTOL」(パッセンジャー・ブイトール)という4人乗りの全自動操縦型電動式のモジュラー型モビリティシステムだ。そのデザインの独自性が認められ、欧州共同体の意匠権を取得している。
①Passenger VTOL、②パーゴラ屋根、③走行モードになったPassenger VTOL、④新たなビルのエントランスとして屋上に整備されたロビーや待合スペース、⑤Passenger VTOLを昇降させる搬送システム、⑥地上を移動するPassenger VTOL

①Passenger VTOL、②パーゴラ屋根、③走行モードになったPassenger VTOL、④新たなビルのエントランスとして屋上に整備されたロビーや待合スペース、⑤Passenger VTOLを昇降させる搬送システム、⑥地上を移動するPassenger VTOL

空を飛んできたeVTOLは、空の玄関としてパーティポート(垂直離着陸飛行場)を整備したビルの屋上に降り立つ。パーティポートにはパーゴラ屋根があり、その下でeVTOLはプロペラユニットを外し、走行ユニットに載せ替えられて走行モードに変化する。走行モードのPassenger VTOLは、そのままビルの外壁に備えられた昇降装置で地上に降ろされ、道路を走って目的地に向かう。その間、人はキャビンユニットから降りる必要はない。
①取り外したプロペラユニットを懸架して充電を行うパーゴラ屋根。ガラス面で太陽光発電を行うことも想定、②走行モードから飛行モードに変換されるPassenger VTOL、③充電中の走行ユニット、④Passenger VTOLは荷物の運搬も可能

①取り外したプロペラユニットを懸架して充電を行うパーゴラ屋根。ガラス面で太陽光発電を行うことも想定、②走行モードから飛行モードに変換されるPassenger VTOL、③充電中の走行ユニット、④Passenger VTOLは荷物の運搬も可能

これにより、ビルは空と地上を結ぶ物流人流の拠点となり、ビルの屋上は地上の玄関と同じく重要な意味を持つようになる。eVTOLは単に新たな交通手段となるだけでなく、街の形や人々の生活を大きく変える可能性を備えている。空飛ぶクルマがその能力を存分に発揮できるインフラが整ってはじめて、空飛ぶクルマはクルマになるのだろう。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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