11月1、2日の両日にわたってオープニングイベントが開催され、1日には約2300人の来場者があり、盛況だった。この日、本誌のコラボ企画として「Forbes JAPAN SMALL GIANTS『アトツギベンチャー』トーク」を展開。東海エリアが拠点の3人のアトツギをゲストに迎え、スモール・ジャイアンツを担当するForbes JAPAN編集部の督あかりがモデレーターを務めた。
登壇したのは、高品質な尾州ウールを手がけ、産地を盛り上げる三星毛糸代表取締役社長の岩田真吾と、オリジナル缶を人気商品に持つ側島製罐代表取締役の石川貴也、高級ゴルフヘッドや馬具などの新規事業を手がける金型メーカー、エムエス製作所代表取締役社長の迫田邦裕。
客席にはスタートアップ、VC、自治体、アトツギなど、様々な立場の観客が集った。その模様をレポートしよう。
異業種との共創でイノベーションを起こす
督:経済メディア「Forbes JAPAN」のスモール・ジャイアンツ企画のコラボで、このエリアの中小企業経営者のお三方に「アトツギベンチャートーク」というテーマでお話を伺っていきます。
「アトツギ」や「アトツギベンチャー」という言葉が浸透しつつある昨今、共創や組織をテーマに、実情を少し深掘りしながらお話しを伺っていきたいと思っています。まずは『尖った中小企業の共創事例』について聞いていきたいと思います。
岩田:テーマが「スモール・ジャイアンツ」や「事業承継」となると、スタートアップ関連の方にはあまり関係ないと思われる方もいるかもしれませんが、そもそも「スタートアップ」と「アトツギ」はマッチングではなく、クロッシングする必要があるというのが私の考えです。そこで、中長期的な友好関係を作ることをコンセプトに、三星毛糸のオフィスにコミュニティ「TAKIBI&Co.(タキビコ)」を2023年に立ち上げ、1年が経ちました。
日本は世界のGDP比で見ても、スタートアップの数は極めて少ない。一方で100年企業の数は世界最多です。この特性を考えると、日本では「アトツギ」というリソースをもっと活用すべきであるにも関わらず、これまではアトツギはアトツギ同士だけでかたまる傾向がありました。アトツギ以外の人間からすると、声をかけるのはハードルが高いイメージがあるかと。
ただ、経営者というレイヤーで見れば、起業家もアトツギも変わりません。一緒に交わることで、お互いに気づきがあり、お互いの事業成長にも繋がります。中小企業であろうと大企業であろうと、アトツギでもスタートアップでも同じ社長同士、決して気後れすることなく、「一緒に何かやりませんか」と声をかけることができる。これがTAKIBI&Co.の特徴です。
また、意思決定が早いのも特徴。例えばTAKIBI&Co.では、有志のトヨタやスノーピークビジネスソリューションズ(以下、SPBS)の社員たちが集い、その場で「キャンプ部を作ろう!」とか「サウナ部はどう?」と話が具体的になっていく。キャンプ部ではSPBSがサポートし、トヨタではこれまでなかった「キャンプ部」をすぐに申請し、設立しました。まともに稟議を上げて......と時間がかかっていたらおそらくできないことが、このコミュニティではできてしまうというのが、おもしろい事例だと思います。