ソニー・ホンダモビリティが、同社のモビリティブランド「AFEELA」の1号車となる「AFEELA 1」(アフィーラ ワン)を2025年から米国カリフォルニア州より発売する。1月にラスベガスで開催されたエレクトロニクスショー「CES 2025」では最終形に近いプロトタイプが公開された。AFEELAは他のEVと違うユーザー体験をどのように描こうとしているのか。ソニー・ホンダモビリティのデザイン&ブランド戦略チームを率いる石井大輔氏と河野拓氏、ならびにユーザー体験のデザインを統括する小松英寛氏に聞いた。
走るクルマの安全性向上と「ソリッドな色気」を追求
ソニー・ホンダモビリティのAFEELAは、2023年のCESで最初のプロトタイプを発表して以来、約2年間をかけて現在の形にまで進化を遂げた。初号機の名前に「1」を付けた理由を、石井氏は「0/1(ゼロ/イチ)からの1。ここから始まるという思いを込めました。そしてみなさまにできるだけシンプルに覚えてもらえる名前を目指したから」だと語る。河野氏が説明を続ける。
「普通の自動車メーカーであれば、クルマの特徴を反映したペットネームを付ける場合もあります。私たちは名前からクルマの印象を押しつけるのではなく、オーナー自身がクルマを育てながら個性も与えられる、SDVの発展性も強調する意味合いも込めてシンプルな名前にしました」
SDVとはスマホやパソコンのようにオペレーティングシステム(OS)を搭載して、諸々の機能をソフトウェアで自動制御したり、ユーザーがスマホのようにアプリを追加したりすれば新しい機能が追加できる「Software Defined Vehicle」のことだ。
デザイン&ブランド戦略チームは、2025年のプロトタイプではAFEELA 1の『2つの特徴』をより先鋭化させてきたという。石井氏はその1つが「センシングがもたらす安全性」だと語る。安全走行に不可欠なセンシングの精度向上を図るため、ルーフトップには測距用のLiDARと2つのセンシングカメラを載せたユニットが加わった。
さらに「走るクルマらしさ」も意識しながら、より先進的でシャープなたたずまいを追求している。ソニーとホンダは、どちらのブランドもプロダクトデザインは機能性を研ぎ澄ませながら余計な要素をそぎ落とす考え方を重視してきたと石井氏が語る。
「その視点をAFEELA 1にも採り入れました。余計なキャラクターラインを廃して、不必要な抑揚も付けない。デザインをソリッドに突き詰めながら緊張感を与えています」(石井氏)