快適さを実現するマテリアルへのこだわり
AFEELA 1の車内に乗り込むと、前方には5K高解像度のパノラミックスクリーンが展開される。スクリーンの端々まで視認性を高めることも狙って、AFEELAは初代プロトタイプからステアリング(ハンドル)の上半分を開放したヨークデザインを採用する。石井氏によると「何度もドライビングテストを重ねながら、ステアリングのデザインもブラッシュアップした」という。
パノラミックスクリーンはAFEELA 1の先進性と未来的なイメージを想起させてくれるが、一方ではドライバーとパッセンジャー(同乗者)がクルマの中で快適な時間が過ごせるように内装のマテリアルも丁寧に吟味している。
AFEELA 1のプロトタイプは、キャビンの表面積から約7割の箇所にリサイクル材と植物由来のサステナブルなマテリアルを使っている。ドライバーとパッセンジャーを包み込む車室空間のデザインは「オーバル」というコンセプトを初代のプロトタイプ以来継承して、手触りに優れるUltrasuede、高耐久性の合皮、消臭性能を持たせたメッシュテキスタイルとパイルカーペットなどを採り入れた。
例えば合皮は、ドライバーとパッセンジャーが触れる表面層の一部にサトウキビの廃糖蜜、トウモロコシの芯の絞りかすなど植物由来のサステナブルな素材を使っている。筆者もCESの会場でAFEELA 1の後部シートに試乗して、柔らかなブランケットに包み込まれるような心地よい乗り心地を味わった。
上位のAFEELA 1 Signatureにはタイダルグレー、カームホワイト、コアブラックという3色のカラーバリエーションがある。ベーシックモデルのAFEELA 1 Originはコアブラックの1色展開だ。
AFEELAは安全走行を支援するレーダーのセンシング精度を落とさないように、車体に特殊な塗装を採用している。独自に工夫を凝らした塗装によって、車体が光を受けると色あいがゆったりと移り変わる。その表情の変化が最も楽しめるカラーはタイダルグレーだと筆者は思う。タイダルとは潮の満ち引きを意味する言葉だ。初代AFEELAのコンセプトモデルから続くタイダルグレーはAFEELAのシグニチャーカラーであることから、上位モデルのSignatureのラインナップに相応しいカラーバリエーションとして採用された。発表後の反響はとても良さそうだ。
AFEELA 1が未来のクルマの可能性を創造する
AFEELA 1が発売日を迎えるまでのカウントダウンが始まった。ソニー・ホンダモビリティは挑戦者という立場で自動車市場における競争の舞台に立つ。米国に続いて、2026年内には日本での展開も予定されている。インタビューの最後に、AFEELA 1に込めた各氏のこだわりを聞いた。