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2025.02.12 15:00

シャオミの共同創業者、EV事業の好調で中国で5番目に裕福な人物に

中国・山東省にあるシャオミの店舗(CFOTO/Future Publishing via Getty Images)

中国・山東省にあるシャオミの店舗(CFOTO/Future Publishing via Getty Images)

中国のテクノロジー大手、Xiaomi(シャオミ、小米)の創業者レイ・ジュン(雷軍)は、同社の株価が過去12カ月で250%上昇したことで、中国で5番目に裕福な人物に浮上した。

フォーブスの推計によると、現在55歳のレイの保有資産は直近で353億ドル(約5兆4200億円)に達している。香港証券取引所に上場するシャオミの会長でCEOを務める彼の資産は、フォーブスが2024年4月に発表した世界長者番付では109億ドル(約1兆6700億円)とされていた。しかし、シャオミの株価は今年の年初から約27%上昇している。

シャオミの株価急騰の一因として、競合よりもハイエンドで利益率の高いデバイスに注力したことで世界3位のシェアを獲得したスマートフォン事業にある。さらに、香港の調査会社ブルーロータスのエリック・ウェンによると、1月に中国の人工知能(AI)企業DeepSeek(ディープシーク)がコスト効率の高いAIモデルを発表したことで、中国のAI技術への投資家の関心が高まる中で、シャオミは、「Xiao AI」と呼ばれる独自のデジタルアシスタントに注力している。

しかし、同社の株価の上昇を牽引している最大の要因は、電気自動車(EV)部門の好調な見通しだ。シャオミは、2024年に13万5000台以上のEVを納車していたが、今年の納車台数は30万台に達する見通しだ。

シャオミが昨年3月に発売した電動セダン「SU7」の価格は21万5900元(約450万円)からで、テスラ「モデル3」の23万5500元(約490万円)よりわずかに安い。ブルーロータスのウェンは、シャオミの今年のEVの納車台数が、レイの目標を上回り、38万7000台に達すると予測している。

また、今夏に発売予定の電動SUVの「YU7」は、テスラの「モデルY」の競合となる見込みだ。上海の調査会社Automotive Foresightのヤエル・チャンは、YU7の販売価格が、モデルYの価格である26万3500元(約550万円)をやや下回る可能性があると予測した。

さらに、シャオミのEVは、アウディやBMW、メルセデス・ベンツなどの外国ブランドからも市場シェアを奪いつつあるとチャンは述べている。中国の若年層は、シャオミの車両のスタイリッシュなデザインだけでなく、レイ自身にも魅力を感じている。

EV事業が初の黒字化へ

しかしながらシャオミの現在の株価は、高く評価されすぎている可能性もある。同社株のPER(株価収益率)は、香港市場で53倍に達しており、中国のインターネット大手テンセントの23倍や、自動車メーカーBYDの26倍を大きく上回っている。

それでも、シャオミの将来性を高く評価する投資家は多い。シンガポールの調査会社DZT Researchのリサーチ責任者であるクー・ヤンは「一部の投資家は、小米を急成長するテクノロジー関連株として見ており、高いバリュエーションを正当化できると考えている」と述べている。

さらに、ブルーロータスのウェンは、シャオミのEV事業が2026年には黒字化すると予測している。現在、同社のEV事業は赤字だが、2024年第3四半期の会社全体の売上高の10.5%を占めていた。シャオミの同期間の売上高は前年同期比30.5%増の925億元(約1兆9400億円)で、純利益は4.4%増の63億元(約1300億円)だった。

「シャオミの株価は、非常に高い水準にあるが、まだピークには達していない。同社のスマートフォン市場での競争力は向上しているが、EV事業こそが本当の成長ドライバーだ」とウェンは語っている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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