石井氏は、ソニーがイメージセンサーに強みを持つ会社でもあることから、その強みを活かして「高度なセンシングによって守られる安心安全なクルマ」であることを前面に打ち出したいと語っている。
本田技術研究所の出身である河野氏は、今までホンダで多くの自動車をデザインしてきたからこそ、ソニー・ホンダモビリティではこれまでにないアプローチに挑戦してきたと振り返る。「エンタテインメント空間としての魅力が充実するAFEELA 1」は河野氏の新しい集大成だ。
「例えばホンダでは、自動車のサウンドを1から作り込むという考え方をしたことがなかったように思います。エンタテインメント空間として充実しているクルマであることはAFEELA 1の大事な個性であり、まさしくソニーとホンダがつながったことの象徴です。多くの方々に上質なエンタテインメント体験を楽しんでほしいですね」(河野氏)
小松氏は、AFEELAが誕生したばかりの歴史が浅いブランドであることを「強み」にしたいと語る。
「AFEELAの開発現場でいっしょに働くホンダ出身のチームメンバーに聞くと、プロダクトや体験をゼロからフルスクラッチで創造できる貴重な機会を楽しんでいるという声をよく聞きます。だからといって、私たちは各自がやりたい放題、好きなことをAFEELA 1に詰め込んできたわけではありません。いつも丁寧にディスカッションを交わしながら、初めの一歩としてあるべきユーザー体験を作り込むことにこだわっています」
先に小松氏が触れた、Unreal Engineでレンダリングする3Dマップはその好例だ。一見するとオーバースペックに見えるかもしれない機能だが、そこにはこれからさまざまな方向に進化できる可能性があふれているのだと、小松氏は自身に満ちた笑みを浮かべた。
「PlayStationは長期的な進化を見据えた思想がありました。それが今日までの新しい価値を次々と生み出すことにつながっています。AFEELAも同様に、将来的な進化と成長のための土台を築くことが大事であると私は考えています。これから発売に向けて、AFEELA 1の強みとなる価値をさらに多く見つけたいと思っています」(小松氏)
2025年1月26日にグランドオープンした東京・銀座にある「Ginza Sony Park」では、同年3月17日まで米国モデルをベースにしたAFEELA 1の車両を展示している。ぜひこの機会にソニー・ホンダモビリティが描く未来のクルマの可能性に触れてみてほしい。
連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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