これを受け、米議会はロビンフッドを召喚し、同社のビジネス慣行や安全に関する施策を追及した。同社は、顧客を誤解させる施策やずさんな取引の執行、アカウント保有者のデータをハッカーに晒すなどの違反行為をめぐって、2020年以降にSECに1億ドル(約152億円)以上の罰金を支払った。
取引データを外販して収益化
一方、ロビンフッドに向けられるもう1つの非難が、「ペイメント・フォー・オーダー・フロー(PFOF)」と呼ばれる取引スキームに絡むものだ。このスキームは、顧客の株取引データの詳細を外部のヘッジファンドに販売して収益を得るもので、同社は、個人投資家を犠牲にしてウォール街の機関投資家を儲けさせていると非難されている。ロビンフッドの2024年の売上高は、前年比58.2%増の29億5100万ドル(約4500億円)だったが、その約66%がPFOFからの収益だった。ヘッジファンド運営会社のシダテルやツーシグマ・インベストメントらは、コンピュータを用いた株式の超高速取引で収益をあげているが、彼らはロビンフッドのような企業に対価を支払って株式市場の一瞬先の動向を知ることで儲けを増やしている
ロビンフッドは、暗号資産の取引データもヘッジファンドに販売して収益を上げている。株式の取引は、週に5日しかできないのに対し、暗号資産は24時間365日取引可能だ。フォーブスの分析によると、同社の暗号資産の取引データの多くは、Tai Mo ShanやWolverine Trading、Wintermuteといった暗号資産のヘッジファンドに販売されていた。
さらに、ロビンフッドに向けられるもう1つの疑念は、同社が暗号資産の顧客に提示する価格に関するものだ。ロビンフッドは、コインベースなどの競合と比べて最も低い価格で暗号資産を提供していると主張している。しかし、この分野で同社に透明性を期待するのは難しい。ロビンフッドの暗号資産部門は、SECの規制下にある証券部門とは異なり、顧客に「最良の執行価格」を提供する義務がなく、取引スプレッドの開示義務を課されていない。
しかし、ロビンフッドの株主たちは、同社が抱えるさまざまな問題をあまり気にしていない。
「彼らは暗号資産や株式、オプションの取引を提供してきたが、直近ではスポーツベッティングにも参入しようとしている」とみずほ証券のアナリスト、ダン・ドレフは指摘し、ロビンフッド株のアウトパフォーム評価を維持した。
ナスダックに上場するロビンフッドの株価は、直近の1年間で約5倍に上昇し、13日の市場で63.80ドルの終値をつけた。
(forbes.com 原文)