ロビンフッドの暗号資産関連の売上高は8倍以上に増えて3億5800万ドル(約540億円)を記録したが、この伸びを牽引した暗号資産の1つが、柴犬をモチーフにしたミームコインの「ドージコイン」の取引だった。最近の米証券取引委員会(SEC)の資料によると、ロビンフッドの顧客はこのコインの全流通供給量の約24%にあたる約88億ドル(約1兆3400億円)相当を保有している。
時価総額が390億ドル(約5兆9200億円)のドージコインは、世界で8番目に価値が高い暗号資産で、その価格は過去1年で3倍以上に上昇した。
もちろん、ロビンフッドの数百万人の顧客が取引している暗号資産はドージコインのみではない。コインベースといった暗号資産専門の取引所と競合するロビンフッドは、約20種類の暗号資産の取引を顧客に提供している。
そこにはBONK(ボンク)や、Shiba Inu(柴犬)、Dogwifhat(ドッグウィズハット)、トランプコイン、カエルのキャラクターのPepe(ペペ)コインなどの5種類のミームコインが含まれている。また、ロビンフッドではビットコインやイーサリアムなどの伝統的な暗号資産も人気だが、ビットコインキャッシュ(BCH)やステラルーメン(XLM)、テゾス(XTZ)といった7種類の「ゾンビトークン」も取引されている。これらの時価総額が10億ドル(約1500億円)以上のトークンは、活発に取引されているが、実際にはほとんど意味のある用途を持たないため、こう呼ばれている。
「ロビンフッドのメインアプリでは、新たな暗号資産の追加を続けており、そのスピードを加速させている。当社は、昨年の大統領選以降に、新たに7つのトークンを追加した」とロビンフッドの共同創業者でCEOのウラジミール・テネフは決算説明会で語った。
顧客の大半がミレニアル世代とZ世代
現在38歳のテネフは、2013年に「投資の民主化」という一見高尚な理念を掲げてこの取引所を立ち上げて、「手数料ゼロ」を謳い文句にして若いトレーダーたちを呼び寄せた。同社の2500万のアクティブアカウントのうちの約75%は、ミレニアル世代とZ世代の投資家が占めている。投機色が非常に強いミーム株の価格の変動は、ファンダメンタルズに沿わない場合が多いが、ミームコインの場合、その一歩先を行っており、そもそも実質的な価値やファンダメンタルズが存在しない。その一例の、「ニット帽をかぶった犬の画像」のコインのDogwifhatの時価総額は約6億ドル(約910億円)に達しているが、その将来の収益見通しを算定することに意味はない。