欧州

2025.02.14 09:00

ウクライナの知られざる英雄「夜間爆撃ドローン」

ウクライナ北東部ハルキウ州の集落リプツィ付近で2024年6月19日、大型の爆撃ドローン(無人機)に爆弾を装着するウクライナ兵(Taras Ibragimov/Suspilne Ukraine/JSC "UA:PBC"/Global Images Ukraine via Getty Images)

パーペチュアは「ウクライナは重爆撃ドローンで車両を撃破する方式に軸足を移していて、このやり方で1日にとんでもない数の損害を記録している」とも述べている。あわせて、このタイプのドローンによる月間の撃破数が2024年に急増したことを数字を挙げて示している

遅れをとるロシア

ウクライナの夜間爆撃機の有効性を示すもうひとつの証拠は、ロシア側の反応だ。バーバ・ヤガーのロシア製クローンはいくつか披露されているものの、前線には届いていないとみられる。ロシアはその代わりに、墜落したウクライナ軍の爆撃ドローンを熱心に修復しては自軍で就役させている。

ドローンなどの専門家であるサミュエル・ベンデットによると、ロシアのテレグラム・チャンネルには、ロシア側がウクライナ製爆撃ドローンを修理し、それをウクライナ軍に対して使用している写真や動画が数多く投稿されているという。

OSINTアナリストのRoyによれば、ロシアは鹵獲したバーバ・ヤガーを使い続けるためにサプライチェーン(供給網)まで構築しているらしい。

Royは、ロシアが鹵獲したウクライナ製バーバ・ヤガー用のプロペラの生産を始めたことを伝え、これを「ロシアが重爆撃ドローンの開発に失敗したことを示す新たな証拠」だとしている。

ロシア兵がバーバ・ヤガーをひどく恐れていることも知られている。ロシア側のある記事によれば、バーバ・ヤガーを撃墜した兵士は10日間の休暇を与えられるという。また、ロシア兵の間では、バーバ・ヤガーは夜中に舞い降りて、負傷したロシア兵を金属の爪でかっさらっていくだとか、火炎放射器でなければ仕留められないなどとも噂されている。

ウクライナ側は、銃火に耐える装甲をまとったバーバ・ヤガーといった投稿をして、こうした神話を強めている。なかには、爆発反応装甲を装備したヴァンパイアドローンがロシア軍のFPVドローンによる攻撃を生き延びた、というまことしやかなもある。さすがにこれは鵜呑みにしないほうがよいかもしれない。

ロシアが独自の重爆撃ドローンを配備できていない理由や、クワッドコプター4機を組み合わせた機体のような奇妙な取り組みに頼っている理由はよくわからない。
ウクライナが重爆撃ドローンの分野でリードしているのは明らかだが、それがロシア側に与えた損害の全容は戦後にならなければわからないだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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