全1702社の分析で企業の「本気」と「見せかけ」が浮き彫りに
女性活躍推進法の改正が進み、「女性版骨太の方針2024」も発表された。政府の号令のもと、企業の女性登用は加速的に進んでいるように見える。日本企業の女性管理職の割合は今年、2013年の調査開始以降で初めて10%を超えた。ゆるやかながらも上向きな変化を精緻にとらえるべく、今回の「WOMEN AWARD」では企業総合ランキングの範囲を大きく広げ、100位までを発表。データサイエンス企業サステナブル・ラボの協力のもと、ビッグデータと統計的手法を活用して各社を分析し、スコアを算出した。
調査対象としたのは、東証プライム市場上場企業および本アワード応募企業の計1702社。昨年に引き続き「ダイバーシティ」「人的資本」「労働環境」「パフォーマンス・生産性」の4カテゴリを軸に指標を構成し、総合スコアの上位100社をリスト化したのが前述のランキングだ。
1位は、昨年の28位から飛躍したパソナグループ。係長級から取締役まで女性比率が高く、外国籍や障がい者の雇用人数の多さから、ダイバーシティのスコアが抜きん出た。2位の松本興産は埼玉県秩父郡にある社員数159人の自動車部品メーカーだが、男女の賃金差が小さく、男性育休取得率は100%と、ジェンダーギャップの少なさが際立つ。
分析にあたったサステナブル・ラボのCEO平瀬錬司は「人的資本を大事にする松本興産は、令和の日本企業の勝ちパターン」と称賛する。
業種別では、医薬品メーカーなどを含むヘルスケア業界が最良のスコアを出した。労働生産性が高く、男女の平均勤続年数がほぼ変わらないのもこの業界の特徴だ。
外資系企業は開示していない情報が多いため、別途ランキングを作成した。長年D&Iに取り組んできた日本IBMなど、ダイバーシティ意識の高い企業がランクイン。
前述の「調査対象カテゴリ」で示す指標のうち、特に注目したのが7と8「役員に占める女性(社内昇格)」。政府は25年までに、プライム上場企業の役員に占める女性の割合を19%にするという目標を立てたが、その枠を社外取締役でなんとか埋めているという企業は少なくない。生え抜きの女性はさらに少ないことから、社内昇格の女性取締役数TOP10を作成した。
政府は男性の育休取得率についても「25年までに50%」との目標を掲げ、4月からは従業員100人超の企業に取得率の公開を義務付けると発表。ここでは、アンケート調査でわかった取得率100%の企業10社を公開する。このほか大企業では、みずほフィナンシャルグループ、大東建託、オリエントコーポレーション、リコーリース、エコラボが100%を達成している。