AIをインプラントすることで人間の影響力を増幅
イーロン・マスク率いる企業Neuralink(ニューラリンク)は、AIベースのツールを人間の脳に直接つなぐブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)の分野を開拓している。ニューラリンクの埋め込み型デバイスは、ユーザーがどこにいてもコンピューターやモバイル端末を操作できるというもので、情報への即時アクセスや、テクノロジーとのシームレスなやりとりが実現する可能性を秘めている。BBCによれば、米食品医薬局(FDA)は2023年、ニューラリンクのインプラントの臨床試験を承認した。自分の脳からほぼ瞬時にAIにアクセスすることを想像してみてほしい。
ニューラリンクのデバイスはコインほどの大きさで、頭蓋骨に埋め込まれる。このデバイスは、ニューロンの活動を読み取って信号を送信する極小ワイヤを備えている。この技術により人間は、考えるだけでコンピューターやそのほかの機器とやりとりできるようになり、学習、コミュニケーション、さまざまな技術の制御が強化される可能性がある。
守護霊がAIコーチだったら
しかし、AIとBCIの統合は、教育や、批判的思考の未来について疑問を投げかける。超高速(超人的?)な洞察を与えてくれる守護天使は、人間の認知能力に影響を与え、教育者にとっては悪魔に見えるかもしれない。AIに頼むだけで、エッセーを書いたり、ソネット(抒情詩)を引用したり、Pythonのコードを書き直したりできたら、教育に価値や必要性はあるのだろうか?学習は、まったく新しい意味を持つようになる。我々は人間として、何を考えなければならないのだろうか。そして、AIチューターやコーチ、そして教師に、我々は何を任せられるのだろうか?
AIは、あくまで人間の学習を補完するもの、というバランスを維持できれば、批判的思考能力の低下や、基礎教育の軽視を防ぐことができる。オーストラリア、シドニーにあるニューサウスウェールズ大学の教育心理学研究グループを率いるアンドリュー・マーティン教授(教育心理学)は、「小学校、中学校、高校は、AIの活用方法を考えるという点で最前線にある。なぜなら、そうせざるを得ないためだ」と話す。「宿題の手助けを生成AIに頼ってしまうと、放課後に友人たちとリポートについてブレインストーミングしようという気持ちが薄れてしまうかもしれない」
AIチューターやコーチを教育システムにどう組み込むかは、労働の未来にとって極めて重要だ。しかし現在のところ、あなたのキャリアにとっては、ChatGPTなどのAIをメンターやコーチとして活用することは賢明な選択と言える。少なくとも、フアンをはじめとする業界のリーダーたちはそう考えている。
AIはガイダンス、コーチング、メンターシップを提供することで、人間の能力を大幅に向上させる可能性を秘めている。AIは、私たちの仕事を奪ったり、人間性を損なったりするのではなく、私たちの能力を増強し、より大きなイノベーションと生産性につながる支援を提供できる。
どのようなツールも使い方次第だ。AIをコーチとして最大限に活用してみてはいかがだろうか?
(forbes.com 原文)