AI

2025.02.20 17:30

韓国生まれの「リートン」が目指すAIスーパーアプリ

イ・セヨン|リートンテクノロジーズ最高経営責任者(CEO)

現在リートンのサービスには3つの軸がある。「AI検索」「AIキャラクター」「自分だけのAI」だ。

「AI検索」は既存の検索とどのように異なるのだろう。イ・セヨンはスマホを取り出し、「ファン・インボム、オランダデビュー戦」というキーワードで直接検索してみせてくれた。対話画面にキーワードを入力すると、じきにファン・インボム選手のオランダリーグデビュー戦についての動画スクリプトと関連するイメージが、出処とともに出てきた。下には競技の日付や相手チーム、ポジション、活動量、結果などの競技の概要と競技内容、追加情報等が自動的に生成されている。ボールタッチ、得点やチームの成績、選手の戦術的役割などが一目瞭然にわかるテキストが整理され、画面の隅には、関連する記事のサムネイルが次々と出てくる。検索結果をいちいちひとつずつ調べ、必要な情報を集める過程が不要になったのだ。

「GPT-4など数々のAIモデルがリアルタイムで多くのデータを検索し、数秒以内に答えてくれるのです。AIが自ら計画を立て、ユーザーの代わりに検索してくれると思えばいいんです。社内では『アンサーエンジン』と呼んでいます」

AI検索は現在、AI業界では世界的に最も熱い視線が向けられる分野となっている。オープンAIはもちろん、グーグルやネイバーも関連サービスを打ち出し、米パープレキシティのようにAI検索に特化したスタートアップも登場している。

リートンのもうひとつの競争力はAIのコンテンツ化だ。検索や文書作成のような情報サービスに比べて、創作領域にAIが活用されれば、ゲームやウェブ小説のようなコンテンツサービスへと進化するようになる。リートンではキャラクターサービス「AIキャラチャット」がその代表的な例だ。AIキャラチャットページに入ると、クリエイターや一般人が創造した数多くのキャラクターが目に飛び込んでくる。自由に自分が望むキャラクターを選び、対話することができるのだ。

最近ではグーグルが、AIチャットサービスのスタートアップ、キャラクターAIを買収したが、この分野は生成AIでも脚光を浴びる分野となっており、イ・セヨンは、「我々の方向が間違っていなかったという確信を得ている」と述べている。

パーソナライゼーションは生成AIの強みが最もうまく生かされる技術だ。すでに電子商取引などでは、ユーザーそれぞれの好みや必要を満たし、顧客を囲い込むための多様なデータマーケティング技術が普及している。リートンが24年5月にモバイル版として公開した「自分だけのAI」キャラは、AIと人間の交感に焦点を合わせたパーソナライゼーションサービスだ。

「リートンは生成AIのスーパーアプリになるのが目標です。そのためには、日常にリートンのAIサービスが接していなければいけません」

それはただ検索結果を伝えるだけでなく、ユーザーの好みや習慣を把握した上で、例えば大好きな食事の後に体を動かすように提案するなど、数歩先の情報まで与えてくれるようなものだ。

さらにリートンは、2024年の下半期にも「スタジオ」と命名した新しいAIサービスを公開する計画だ。イ・セヨンはこの新製品について「エージェント(代理人)ビルディングサービスだ」と紹介する。秘書やエージェントを、日常的な対話で現実化したサービスとなる予定だ。

「例えば私が『今日フォーブスのインタビューがあるので、撮影用に着るジーパンを買って』と言うと、AIが私の体形、好みのスタイル、サイズ、好きなブランドなどを把握して自動でショッピングモールに注文するといった具合です」
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文=ジャン・ジンウォン 写真=チョイ・ユンジェ/ フォーブス・コリア 編集=森 裕子

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