同社のCEOを務めるトリスタン・ハンディによると、それから5年の期間と1回のピボットを経て、このツールの有料顧客数は5000社以上、年間経常収益(ARR)は1億ドル(約152億円)以上にまで成長し、今では同社の中核事業になったという。
ハンディは、今から約10年前にデータアナリストとして不便なソフトウェアを扱うことに不満を感じたことから、その頃Fishtown Analyticsと呼ばれた企業を立ち上げた。当時は、アマゾンのRedshiftやFivetranなどのクラウドベースのデータツールが普及していたが、開発者たちはそれらを最大限に活用する方法を知らなかったため、彼はコンサルティングサービスを提供した。
ハンディは顧客と仕事をするうちに、データクリーニングやフォーマット変換などの煩雑な作業を、効率化するツールの開発を思い立った。それまで、社内システムは変更のたびに壊れがちだったが、このツールによって信頼性と効率が向上した。その結果、企業は整理されていない膨大なデータセットをより速く分類し、意思決定に役立つパターンやデータポイントを見つけることが可能になった。
その後、同社はコンサルティングサービスの宣伝を目的に、Dbt Core(Dbtは「データ・ビルド・ツール」の略)と呼ばれるツールをオープンソース化した。ツールの評判は広まり、利用者は着実に増えていった。Fishtown Analyticsは、2020年にソフトウェア会社へピボットし、社名をDbt Labsに変更した。
同社の企業向けデータ管理ツールであるDbt CloudとDbt Coreは、現在約5万のチームに利用されており、売上は過去2年で約80%拡大した。顧客企業のコンデナストやナスダック、シーメンスなどは、Dbt Labsの製品を使ってデータの簡素化やフォーマット化を行い、そこから新たな情報を引き出している。