「ガチ中華」とも通じる話
舛友さんの著書は9つの章から構成されているが、次の目次を見るだけで彼の取材がいかに広範囲にわたる領域をカバーしているかわかるだろう。1章 世界の現象としての潤
2章 タワマンに住む人々
3章 新お受験戦争
4章 引退組企業家安住の地
5章 独自のエコシステム
6章 地方という開拓地(フロンティア)
7章 焦燥する中間層
8章 リベラル派知識人大集結
9章 抗議者、小粉紅、支黒、大外宣
今回のトークイベントではこれら9つの章に沿って、筆者が用意した問いを彼に示しながら、意見交換する場となったのだが、そのすべてを伝えるわけにもいかないので、多くの読者にとって関心が高いと思われる事象に絞って紹介することにしたい。
まず「1章 世界の現象としての潤」。ここでは中国新移民の増加がグローバルな現象であることについて述べている。彼らの多くが中国社会と自国の経済の将来に対する深刻な危機感を共有していることがわかる。
筆者に言わせれば、それは「ガチ中華」とも通じる話である。ガチ中華は中国人の世界への大量出国が生んだグローバルな現象であるからだ。面白いのは、ガチ中華が日本で顕在化したのは2018年頃からなのだが、中国で「潤」ということばが生まれた年と重なっていることだ。

その一方で、舛友さんはタワマン規制が関西の神戸で始まろうとしていることも指摘している。投資目的のタワマン購入を阻止しようとする動きはアメリカのケースとも通じている。