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AI

2025.02.13 08:00

米国で総額150兆円規模、「AIインフラ投資」はコストに見合うか?

Shutterstock.com

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マーク・ザッカーバーグは先月、「2025年は人工知能(AI)にとって決定的な年になる」と、自身のフェイスブックへの投稿で述べて、2025年に同社の大規模言語モデル(LLM)のLlama 4 (ラマ4)を基盤とするAI関連のプロジェクトに650億ドル(約10兆2000億円)を投資すると発表した。

この取り組みの中心となるのが、ルイジアナ州の北東部に建設する100億ドル(約1兆5200億円)規模のデータセンターだ。フランス語で砂糖を意味するSucré(シュクレ)と呼ばれるこの施設の敷地面積は、メタの世界20カ所にあるデータセンターの中で最大級の約37万平方メートルに達するとされている。

このデータセンターにおいては、数千台のエヌビディア製GPUであるH100を稼働させるために、一般家庭200万世帯以上の消費電力に相当する2.23ギガワットの電力が必要となる。メタは、地元の電力会社Entergy(エンタジー)に32億ドル(約4800億円)の初期費用を支払って、高効率の天然ガスタービン2基から生まれる電力の供給を受ける予定だ。同社はまた、道路や水道システムを含む関連インフラ整備に2億5000万ドル(約380億円)を投じる予定で、ピーク時には最大5000人の雇用が生まれるとしている。

このプロジェクトは本当に実現するのか? そして、中国のDeepSeek(ディープシーク)が登場したことで最近明らかになったように、高度なAIの構築が当初の予想よりも低コストかつ省エネルギーで可能になるかもしれない中で、果たしてこの計画は妥当と言えるのだろうか?

筆者は、この疑問について、データセンターのエネルギーコストに詳しいコンサルティング会社East Daley Analyticsのアナリストであるザック・クラウスに話を聞いた。彼は、各社のデータセンタープロジェクトを追跡し、その実現可能性や開発業者がどのように電力を確保しようとしているかを分析している。クラウスは、この分野に投資を行う機関投資家のクライアントに対し、最新のテクノロジー分野における動向を過剰に懸念しないよう助言している。

「私たちは、短期的にはこの市場が最新のテクノロジーに対して過剰反応していると考えている」とクラウスは指摘する。彼のリストには、建設が現実的に進む可能性のある290件のデータセンタープロジェクトが含まれている。

急増するデータセンター需要

クラウスによると、AIのエネルギー効率が飛躍的に向上したとしても、AIシステムの構築に大量のデータセンターが必要となる状況は変わらないという。この現象は、19世紀の英国人経済学者、ジェボンズが提唱した「ジェボンズのパラドックス」と呼ばれる概念で説明できる。その当時の英国では、蒸気機関の効率が向上しても石炭の消費量は減少せず、むしろ需要が急増していた。つまり、ある資源の利用効率が向上すると、その資源の使用コストが下がるため、需要は減少するのではなくむしろ増加するという考え方だ。
次ページ > 相次ぐAI関連の大型プロジェクト

編集=上田裕資

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