「バットマン効果」は、これまで表に出てこなかったあなたの資質を引き出し、一皮むけた自分になれるよう導いてくれる。
学術誌Child Developmentに掲載された研究論文ではバットマン効果について検証。自分のことを二人称で考えたり自分以外のキャラクターだとみなしたりして、自分自身を見つめる視点を少し変えるだけで、パフォーマンスに大きな影響を及ぼせることを確かめた。
この研究では、自分自身を客観的な視点でとらえる「セルフディスタンシング(自己の思考・感情と距離を置くこと)」という手法によって幼児の忍耐力が向上するかどうかを調べた。バットマンなどのキャラクターになりきって与えられたタスクに取り組んだ子どもたちは、別人格を演じなかった子どもたちよりも長くタスクに集中できた。
強力な分身(オルター・エゴ)を作り出すことで、現在のアイデンティティーの限界から脱却し、自分の隠れた一面を引き出して成功へと前進できるようになる。バットマン効果が潜在能力の解放につながる3つの仕組みと分身の作り方を、研究結果に基づいて紹介しよう。
1. 自分に限界を課す思い込みから自分自身を解き放つ
多くの場合、人生経験に由来する自分自身についての思い込みは、新しい課題への取り組み方を左右する。自分の行動に疑いを投げかけ、立ち止まらせ、自信を喪失させる「内なる批判者(心の声)」は大きな障壁となる。居心地のよい現状を維持できるコンフォートゾーンから一歩踏み出そうとするとき、心の中で警鐘が鳴る。「ばかだと思われたらどうしよう」とか「リスクが高すぎる」といった内なる声は、あなたの進歩を妨げてしまう。
ここでバットマンのような分身を登場させると、何もかもが一変する。大胆不敵で困難にも立ち向かえる「別人格」になりきれば、自分の限界から効果的に距離を置くことができる。自分が抱える恐怖を第三者の視点から見つめて、乗り越えられるようになるのだ。