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サイエンス

2025.02.09 17:00

自分の「分身」が限界を広げる、バットマン効果で潜在能力を解き放て

Claudio Caridi / Shutterstock.com

Claudio Caridi / Shutterstock.com

自分のアイデンティティー、すなわち自分自身に紐づいた信念や習慣が、窮屈に感じたことはないだろうか。それはまるで、これまでの経験や自分の実力に対する思い込みに基づいて形づくられたキャラクターを演じているようなものだ。こうしたアイデンティティーは安心感をもたらす一方、潜在能力を十全に発揮するのを妨げる障壁となることもある。

「バットマン効果」は、これまで表に出てこなかったあなたの資質を引き出し、一皮むけた自分になれるよう導いてくれる。

学術誌Child Developmentに掲載された研究論文ではバットマン効果について検証。自分のことを二人称で考えたり自分以外のキャラクターだとみなしたりして、自分自身を見つめる視点を少し変えるだけで、パフォーマンスに大きな影響を及ぼせることを確かめた。

この研究では、自分自身を客観的な視点でとらえる「セルフディスタンシング(自己の思考・感情と距離を置くこと)」という手法によって幼児の忍耐力が向上するかどうかを調べた。バットマンなどのキャラクターになりきって与えられたタスクに取り組んだ子どもたちは、別人格を演じなかった子どもたちよりも長くタスクに集中できた。

強力な分身(オルター・エゴ)を作り出すことで、現在のアイデンティティーの限界から脱却し、自分の隠れた一面を引き出して成功へと前進できるようになる。バットマン効果が潜在能力の解放につながる3つの仕組みと分身の作り方を、研究結果に基づいて紹介しよう。

1. 自分に限界を課す思い込みから自分自身を解き放つ

多くの場合、人生経験に由来する自分自身についての思い込みは、新しい課題への取り組み方を左右する。自分の行動に疑いを投げかけ、立ち止まらせ、自信を喪失させる「内なる批判者(心の声)」は大きな障壁となる。

居心地のよい現状を維持できるコンフォートゾーンから一歩踏み出そうとするとき、心の中で警鐘が鳴る。「ばかだと思われたらどうしよう」とか「リスクが高すぎる」といった内なる声は、あなたの進歩を妨げてしまう。

ここでバットマンのような分身を登場させると、何もかもが一変する。大胆不敵で困難にも立ち向かえる「別人格」になりきれば、自分の限界から効果的に距離を置くことができる。自分が抱える恐怖を第三者の視点から見つめて、乗り越えられるようになるのだ。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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