【重要なお知らせ:当社を装った偽サイトにご注意ください】

サイエンス

2025.02.09 17:00

自分の「分身」が限界を広げる、バットマン効果で潜在能力を解き放て

Claudio Caridi / Shutterstock.com

社会心理学誌European Journal of Social Psychologyに発表された研究結果によると、内省が有益となるか有害となるかを決定する主な要因は、自己との心理的な距離にある。研究チームは自己との対話において「私(一人称)」ではなく「あなた(二人称)」を使うと、パフォーマンスが向上し成功への意欲も高まることを発見した。

自己没入状態の視点、すなわち現在の自分の気持ちに深くのめり込み、一人称で物事を考える視点から自分の感情を分析すると、くどくどと考えすぎてしまい、感情に囚われがちになる。

対照的に、自己と距離を置いた内省、つまり現在の気持ちをより客観的に、外の視点(二人称や三人称の視点)から受け止めて状況を考えた場合、物事を大局的に捉えることが可能になり、より適応しやすい感情処理ができて、よりよい感情的結果につながる。

この研究結果は、分身を作り出し、それによってより効果的な感情処理と行動を可能にするという方法に直結する。課題をより客観的に見つめ、精神的により高い耐性をもって物事に対応できるようになる。この心理的な切り替えにより、不安を揺るがぬ障壁とみなすのではなく、一時的な支障として捉え直すことができ、行動を起こしやすくなる。

2. 感情のコントロールと集中力を高める

成功するためには、プレッシャーに負けず、冷静沈着を保つことが求められる。重要な会議、大事な試験、難しい決断など、今後を左右する状況においては、恐怖、不安、フラストレーションといった感情が判断力を鈍らせ、パフォーマンスの低下につながるおそれがある。

別人格になりきったり、三人称で自己と対話したりすることで、感情のコントロールがしやすくなり、明晰な判断力や集中力を妨げる内心の雑音を減らせる。

学術誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された研究論文によれば、一人称ではなく三人称(自分の名前)で自己と対話すると、脳が感情的な経験を処理する方法が変わり、感情をコントロールしやすくなるという。

脳の認知制御中枢を活性化させるには努力が必要だが、代わりに第三者視点で自分に語りかけるだけで、感情の表現方法が変わり、余計な精神的負担なく感情を管理しやすくなるというのだ。

このテクニックはシンプルかつ効果的なため、特に感情的な困難に直面したときに内向きに考え込んでしまいがちな人にとっては、日常生活において役立つかもしれない。

冷静沈着な分身、たとえば自信に満ちたリーダーやバットマンのようなヒーローになりきって、その目を通して自分を見つめれば、それが心理的な緩衝材となり、激しい感情の動きから自分自身を切り離すことができる。これにより、気持ちに振り回されることなく目の前のタスクに集中し、より明確な意思決定が下せるようになり、プレッシャーのかかる状況でも良いパフォーマンスを発揮できる。
次ページ > 不安を軽減し、自信を高める

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

続きを読むには、会員登録(無料)が必要です

無料会員に登録すると、すべての記事が読み放題。
著者フォローなど便利な機能、限定プレゼントのご案内も!

会員の方はログイン

ForbesBrandVoice

人気記事