ファイザー株の2024年初頭から米国記事執筆現在までのリターンは、マイナス3%となっている。これは、同期間に約27%上昇したS&P500種株価指数をアンダーパフォームする内容だ。ファイザー株に対する投資家心理は、同社が最近決定した鎌状赤血球症治療薬の開発中止などによってマイナスの影響を受けている。
Q4決算の概要
Q4決算の収益は178億ドル(約2兆7200億円)で、前年同期比22%増となった。また、ファイザーの新型コロナウイルス感染症治療薬であるPaxlovid(パクスロビド)は、当四半期に7億2700万ドル(約1110億円)の売上を計上し、前年同期に記録した31億ドル(約4700億円)のマイナス収益(収益認識額の取り消しによる)から大きく好転している。パクスロビドの影響を除く収益は、約12%増となった。Q4決算における調整後の純利益率は20.2%で、前年同期の4.1%を大幅に上回った。これにより、当四半期のEPSは前年同期比6倍の0.63ドルとなった。
今後の業績見通しとして、ファイザーは2025年度の収益を610億ドル(約9兆3100億円)から640億ドル(約9兆7600億円)の範囲、調整後のEPSを2.80ドルから3.00ドルの範囲とする従来の見通しを維持した(2024年度の年間収益は636億ドル、EPSは3.11ドル)。同社はメディケア(米国の公的医療保険制度)プログラムの変更による悪影響を考慮しており、その結果として2025年度の収益に10億ドル(約1500億円)分のマイナス影響があるとしている。一方で、ファイザーは収益性の改善に注力しており、今年末までのコスト削減目標を45億ドル(約6900億円)に引き上げた。
ファイザーの目標株価は?
ファイザーは明るいQ4決算を発表したが、株価は決算発表後も上昇していない。もう少し長い期間を見ると、ここ数年間におけるファイザー株の変動は大きく、その年間リターンはS&P500よりかなり不安定だ。私たちは最新決算を反映したファイザーの目標株価を近日中に更新する予定だが、同株は現在の水準でも魅力的であると考える。米国記事執筆現在のPER(株価収益率)は8倍となっており、これは過去5年間の平均値である13倍よりはるかに低い。長期的な収益成長軌道が不安定であることを考慮し、バリュエーションを小幅に下方修正することは正当化されるかもしれないが、それでも現在のギャップは大きすぎると私たちは考える。
(forbes.com原文)