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2025.02.04 10:00

【米国株ウォッチ】好決算で8%の急騰を見せたIBM株、現在の水準でも割安感はあるか?

Joe Raedle/Getty Images

Joe Raedle/Getty Images

先日、コンピューティング界の巨人であるIBM(ティッカーシンボル:IBM)は第4四半期(Q4)決算を発表し、収益と利益がそれぞれ市場予想を上回った。収益は176億ドル(約2兆7400億円)、調整後のEPS(1株あたりの純利益)は3.92ドルで、市場予想はそれぞれ175億ドル(約2兆7300億円)、3.75ドルだった。AIソリューションへの旺盛な需要と、子会社であるRed Hatの堅調な業績が、同社のソフトウェア事業の成長を牽引している。こうした好決算を受け、IBMの株価は決算発表後に8%以上急騰した。

2024年初頭から米国記事執筆現在まで、IBMの株価は約45%上昇しており、これはS&P500種株価指数の上昇率である約27%を上回っている。IBMのソフトウェアビジネスに対する強い需要が、最近の株価も押し上げている様子だ。

Q4決算の概要

Q4決算の収益は176億ドル(約2兆7400億円)で、前年同期比1%増となった。事業別に見ると、「ソフトウェア」事業の収益が同10%増となった一方、「インフラ」事業は同8%減、「コンサルティング」事業は同1.1%減、「ファイナンス」事業は同2.5%減となった。IBMの中核事業であるソフトウェア事業は、引き続き同社の成長を牽引する重要な要素である。ソフトウェア事業の中では、データ&AIソリューションとRed Hatの製品が成長を牽引しており、データ&AIソリューションの収益は前年同期比4%増、Red Hatの収益は同16%増であった。

IBMは、法人におけるAI需要の高まりを利用しようとしている。IBMは、法人顧客がビジネス向けにカスタマイズしたAIモデルを訓練、調整、検証、展開できるようにするプラットフォーム、IBM Watsonxを発表した。IBMによれば、AIソリューションに対する顧客の需要は加速しているという。同社の生成AI事業は、ソフトウェアとコンサルティングの両事業において50億ドル(約7800億円)の受注を獲得している。

Q4決算における調整後の営業利益率は0.5ポイント改善し、60.6%となった。収益の微増と営業利益率の拡大により、EPSも前年同期比1%増の3.92ドルと増加している。2025年度の業績見通しについて、IBMは、少なくとも5%の収益成長、および135億ドル(約2兆1000億円)を獲得するとの見通しを示している。

IBMの目標株価は?

IBM株は米国時間1月29日のアフターマーケットで約8%の上昇を見せた。注目すべきは、IBM株は過去4年間のすべての年で株価を上げた数少ない銘柄の1つであるが、それでも毎年市場に勝つには十分ではなかったということだ。IBM株の年間リターンは、2021年に16%、2022年に11%、2023年に22%、2024年に39%だった。

私たちは最新決算を反映した目標株価を近日中に更新する予定だが、現在のところ、同社の株価は十分に評価された水準だと考えている。現在の株価水準で計算した株価売上高倍率は3.7倍であるが、これは過去5年間の平均値である2.2倍よりも高い。AIがソフトウェア事業の売上に貢献し、そのことが同社の収益および利益を押し上げていることを考えると、こうした多少の評価水準の上昇は正当化されるように思われる。しかし、そうだとしても、投資家は現在の上昇が一服するのを待つか、マイクロソフトのような他のハイテク株を選んだ方が、長期的に堅調な利益を得られると私たちは考えている。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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